直葬で葬儀を執り行う場合、一般葬とは異なる点があるため、挨拶状の書き方や送るタイミングに注意が必要です。
そこで本記事では、直葬における挨拶状の例文や書き方・注意点などを詳しく解説します。また、挨拶状に関するよくある質問にもお答えするので、ぜひ最後までお読みください。
そもそも直葬とは?という方は、以下の記事をまずはお読みください。
直葬において挨拶状は必要?
直葬で葬儀を執り行う場合でも挨拶状は必要です。直葬の挨拶状には、生前お世話になった方たちに故人が亡くなったことを知らせる意味があるためです。
一般葬の挨拶状は法要が滞りなく終了したことを知らせる目的で送られるため、直葬の挨拶状は一般葬と目的が全く異なります。
また、挨拶状を送るもう一つの目的として、香典のお礼をすることが挙げられます。香典を頂いた場合は、香典返しをするタイミングでお礼の意味を込めて挨拶状を添えるのがマナーです。
直葬における全般的なマナーについては、以下の記事で解説しているので、参考にしてみてください。
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直葬における挨拶状の例文3パターン
ここでは、挨拶状の例文を3パターン紹介します。
- 直葬における挨拶状
- 喪中はがきで送る挨拶状
- 香典返しの挨拶状
状況に合わせて書き分けるポイントを解説したので、挨拶状を作成する際にお役立てください。
1. 直葬における挨拶状
直葬における挨拶状は、故人が逝去し葬儀も終わったことを伝える目的があります。
葬儀に参列できなかった方たちに、故人がなくなったことの報告が遅れたことに対するお詫びと生前お世話になったことへの感謝の気持ちを伝えましょう。
生前の故人との関係性も考慮し、丁寧な言葉遣いを心がけることも大切です。
【例文】
父〇〇儀 かねてより療養中でしたが去る〇月〇日逝去いたしました
葬儀は故人の生前の意思により近親者にて滞りなく相済ませました
お知らせが遅くなりましたことを深くお詫び申し上げます
故人生前中はひとかたならぬご厚誼を賜りまことにありがとうございました
なお誠に勝手ながらお供えや不祝儀につきましては辞退させて頂きます
生前賜りましたご厚情に深謝し謹んでご通知申し上げます
令和〇年〇月〇日 (住所など)(喪主名)
2. 喪中はがきで送る挨拶状
喪中はがきで挨拶状を兼ねるケースもあります。故人が逝去したことを伝えるとともに、年末年始の挨拶を控える旨を書き記しましょう。
喪中はがきは新年の挨拶を控えるためのものなので、故人の逝去については簡潔にまとめます。故人の逝去の報告と合わせて、生前に受けたお礼を述べましょう。
【例文】
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
父〇〇が〇月〇日に〇〇歳にて永眠いたしました
生前に賜りましたご厚情に故人になりかわり深謝いたします
本年中に賜りましたご芳情に厚く感謝いたしますとともにみなさまに良い年が訪れますようお祈り申し上げます
明年も変わらぬご交誼のほどをお願い申し上げます
令和〇年〇月〇日 (住所など)(喪主名)
3. 香典返しの挨拶状
葬儀が終わったあと、香典返しに挨拶状を添えるケースです。
まず、葬儀に参列してもらったことや香典を受け取ったことに対するお礼を述べます。次に葬儀・法要が無事に終了したことを報告し、香典返しを送付した旨を伝えましょう。
直接挨拶に伺えないことを詫びる言葉を最後に沿えると、丁寧な印象を与えられます。
【例文】
謹啓この度は(故人の続柄)(故人の俗名)の葬儀ならびに四十九日法要に際しましてご多用にもかかわらずお心のこもったご厚志を賜り深く感謝申し上げます
おかげさまをもちまして葬儀法要を無事に営むことができました
故人も皆様に見守られ安らかに旅立てたことと存じます
皆様からいただきましたご芳志につきましては故人を偲び香典返しとしてお送りさせていただきます
本来であれば拝趨の上お礼申し上げるべきところではございますが書中をもって謹んでご挨拶申し上げます
謹白
令和~年~月~日 (住所など)(喪主名)
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直葬における挨拶状の書き方
例文を確認したところで、一から挨拶状を書く場合の考え方について5つのステップに分けて解説します。
- 故人が亡くなったことを伝える
- 近親者のみで葬儀を執り行ったことを伝える
- 不祝儀等を辞退する場合、その旨を伝える
- 日付や喪主の住所や名前を記す
- 生前に故人がお世話になったことのお礼をする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 故人が亡くなったことを伝える
まず冒頭に、故人が亡くなったことを伝えます。
父〇〇は〇月〇日〇歳にて永眠いたしました
氏名・死亡日・年齢を記載しましょう。挨拶状は基本的に故人が亡くなってから速やかに出すので、亡くなった年は省いても構いません。
2. 近親者のみで葬儀を執り行ったことを伝える
次に、近親者のみで葬儀を執り行ったことを伝えます。
葬儀は故人の生前の意思により近親者にて滞りなく相済ませました
葬儀に参列できなかった人は、心残りに感じているかもしれません。そのため直葬として葬儀を執り行ったことを「故人の生前の意思により」のように理由を説明すると良いでしょう。近親者のみでの葬儀を執り行った理由を説明することで、周囲の理解を得やすくなります。
3. 不祝儀等を辞退するならその旨を伝える
不祝儀・供花・香典などを辞退する場合は、その旨を挨拶状に記載しましょう。
誠に勝手ながらお供えや不祝儀につきましては堅く辞退させて頂きます
挨拶状で不祝儀を辞退する旨を記しておくことで、後日弔問に訪れる方たちへの意思表示になります。
生前に故人がお世話になったことのお礼をする
その次は、故人が生前に世話になったことへの感謝の気持ちを表します。
〇〇様には生前大変お世話になり心より感謝申し上げます
直葬の挨拶状には、故人が亡くなったことを知らせるのと同時に生前お世話になった方たちへ感謝の気持ちを表明する意味もあります。感謝の言葉で挨拶状を締めくくると自然な流れの文章になるでしょう。
日付や喪主の住所や名前を記す
挨拶状の最後に、日付・喪主の住所・喪主の氏名を記します。
令和〇年〇月〇日
〒〇〇-〇〇〇〇
〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番地
喪主 〇〇 〇〇
日付は、西暦ではなく元号で書くのが基本です。詳細な日にちは省略して「令和〇年〇月」でとめても問題はありません。
喪主の氏名は、フルネームまたは長男・長女などの続柄で記載します。また、葬儀の挨拶状において緊急の問い合わせは基本的に発生しないので、電話番号は記載する必要はありません。
直葬の挨拶状を書く際の注意点
書き方を押さえたところで、実際に挨拶状を作る際の注意点を見ていきましょう。
- 忌み言葉は使わない
- 季節の挨拶はしない
- 句読点は使わない
- 端的に伝える
- 宗教ごとに言葉を使い分ける
意識すべきポイントが複数あるので、挨拶状の文章を作る際は何回か見直して不足や誤りがないか確認してください。
1. 忌み言葉は使わない
葬儀の挨拶状では、不幸を連想させる忌み言葉の使用は避けてください。具体的には、以下のような言葉が該当します。
忌み言葉 | 書き換え |
---|---|
死 | 逝去(せいきょ) |
苦労の多い | 努力、尽力 |
辛苦 | 楽ではない |
忙しい | 多用 |
また、同じ言葉が重なる「重ね言葉」も不幸が繰り返されるという意味があるため、挨拶状に使用するのは適切ではありません。
重ね言葉 | 書き換え |
---|---|
重ねがさね | 加えて |
みるみる | 見る間に |
ときどき | 時折 |
つくづく | 心から |
なお、忌み言葉は宗教や宗派によって異なる場合があるため、適切な言葉遣いを確認しておくと良いでしょう。
2. 季節の挨拶はしない
葬儀の挨拶状では、季節の挨拶は省略します。
季節の挨拶は、一般的な手紙では自然な表現です。しかし、葬儀の挨拶状においては「悲しみや驚きのあまり挨拶を忘れてしまった」という意味を含ませることがマナーであるため、省くのが一般的です。
3. 句読点は使わない
葬儀の挨拶状では、句読点を使用しません。
理由としては、挨拶状が毛筆で書かれていたころの名残という説や、葬儀が滞りなく進行することへの願いを込めているという説などがあります。
句読点を付けて挨拶状を書いたとしてもマナー違反とまでは言えませんが、基本的には句読点なしで作成したほうが無難でしょう。
4. 端的に伝える
葬儀の挨拶状は、丁寧な言葉遣いを心がけて端的に伝えることが大切です。
故人への感謝の気持ちや直葬という形式への選択した理由など、伝えたいことを簡潔に書きましょう。長文になるのを避け、要点のみを簡潔に伝えます。
たとえば故人との思い出話や感謝の気持ちを具体的に書き綴ってしまうと、文章が長くなってしまいます。挨拶状では必要事項を簡潔に伝え、深い感謝の気持ちは実際に会ったときに相手に伝えられると良いでしょう。
5. 宗教ごとに言葉を使い分ける
挨拶状では宗教ごとに使用する言葉や表現が異なるので、故人の宗派や宗教に合わせた言葉遣いを心がけることも大切です。
たとえば「戒名・冥福・法要・供養」などは仏教用語であるため、神道やキリスト教の葬儀では使われません。またキリスト教では永眠することを「帰天」や「召天」と表現し、神道では「帰幽」と書きます。
不安な場合は、事前に葬儀社や宗教関係者に相談するようにしましょう。
直葬の挨拶状に関するFAQ
最後に、挨拶状に関するよくある質問を紹介します。
- 喪中はがきで代用できる?
- 直葬で挨拶状を送るタイミングは?
- 挨拶状を出す相手は?
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 喪中はがきで代用できる?
直葬の挨拶状を送るタイミングが年末に近い場合は、喪中はがきで代用しても良いでしょう。
喪中はがきは、11月中ごろから12月はじめにかけて出すケースが一般的です。年末の時期と重なる場合は、挨拶状を兼ねてもかまいません。一方、喪中はがきを出すタイミング以外であれば、挨拶状と喪中はがきは別で用意するのがマナーです。
また喪中はがきと挨拶状を兼用するために、11月中ごろまで挨拶状を出さないという判断をするのは避けましょう。挨拶状を出すのが遅れてしまうと、生前お世話になった方たちは故人が亡くなったことを遅れて知らされることになります。
このような対応では訃報を知らせることが遅れてしまうため、挨拶状を受け取る方たちに対して失礼にあたる恐れがあります。
基本的には、喪中はがきと挨拶状は別で用意するのが望ましいものの、喪中はがきを出すタイミングと重なったときに限り兼用しても良いと理解しておきましょう。
2. 直葬で挨拶状を送るタイミングは?
直葬の場合、葬儀が簡略化されるため、通常よりも早めに挨拶状を送るのが一般的です。
具体的には、故人の死後1~2週間前までに挨拶状を発送するのが望ましいでしょう。
なお、香典をもらった方に関しては故人の死を認識しているため、四十九日法要を終えてから挨拶状を送ります。その場合は、香典返しとともに挨拶状を送りましょう。
3. 挨拶状を出す相手は?
挨拶状を送る相手に明確な決まりはありません。
送り先の判断基準は、親族だけでなく生前故人が親しかった友人や知人、または仕事上の関係者なども挙げられます。注意すべき点は、同じコミュニティに属する人たちにはなるべく全員に挨拶状を送ることです。
同じコミュニティ内で挨拶状が届いた人と届かなかった人がいると、その後の人間関係に悪影響を与えかねないことが理由です。挨拶状を送る人と送らない人の線引きが難しい場合は、故人が年賀状のやり取りをしていた人を参考にしても良いでしょう。
直葬の挨拶状を用意して生前の感謝を伝えましょう
直葬における挨拶状は、すでに葬儀を執り行った旨の報告と生前にお世話になったことへの感謝を兼ねて送るものです。
宗教や地域によって挨拶状の表現や忌み言葉が異なる場合があるので、事前に確認しておくと安心です。また直葬の挨拶状は、故人の死後1~2週間前までに発送しましょう。
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