自らの意志によって自ら命を断つことを自殺といいます。自殺された方は、死亡確認や葬儀の内容に通常と異なる点がいくつかあります。
今回は、自殺された方の葬儀について詳しく知りたい方向けに、ご遺体が発見されてから葬儀までの一般的な流れや自殺された方の葬儀における注意点を詳しく解説します。自殺者の葬儀に参列する際のマナーについても紹介するので、いざというときに適切な対応ができるようにしておきましょう。
この記事を要約すると
- 自殺された方の葬儀までの流れは、自殺の疑いがある方を発見したら、まず脈や呼吸を確認。生存していれば救急車を、明らかに死亡していれば警察を呼びます。警察の確認後、ご遺体が引き渡されるため、葬儀社に依頼して安置所へ搬送します。
- 自殺された方の葬儀で死因を言うかどうかは、遺族の意向に委ねられますので言わなくて大丈夫です。ただし、特殊な対応が必要になるため葬儀社には手配時に伝えておきましょう。守秘義務があるため、参列者に伝わることはありません。
- 自殺された方の葬儀での注意点は、一般的な葬儀より費用がかかる可能性があります。ご遺体の修復のエンバーミングで費用がかかるためです。また参列する側は、死因を詮索しないように注意しましょう
毎年2万人が自殺によって亡くなっている
日本における自殺者数は2000年代に比べると減少していますが、現在も年間約2万人が自殺によって命を落としています。(参照:警察庁|自殺者数)
自殺者数は病死者数に比べると少ないものの、若い世代の自殺は数十年にわたって社会問題であり続けているのが現状です。
自殺者の葬儀はどのように行われるか
自殺者の葬儀は、非常にデリケートな問題です。遺族は心の準備ができていない状態で突然大切な人を失っており、大きな精神的なショックを受けています。故人や遺族のプライバシーを守るため、死因を伏せて葬儀を行いたいと希望する遺族も少なくありません。
また、ご遺体の発見タイミングや自殺の方法によっては、ご遺体の損傷や外傷が目立つケースもあります。この場合は、一般的な処置のほかに専門業者によるご遺体の修復作業を行い、生前の姿に近付けます。このように、自殺者の葬儀にはさまざまな配慮や特別な処置が必要です。
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自殺者の葬儀の流れ
ここからは、自殺者のご遺体が発見されてから葬儀を執り行うまでの一般的な流れを解説します。葬儀において死因を明らかにするかどうかは、遺族の意向に委ねられます。
また、以下の記事では、一般的な葬儀の流れも詳しく解説しています。ぜひ、あわせてチェックしてみてください。
ご遺体の発見・死亡確認
自殺を試みたと思われる状態の人を発見した場合、まずは明らかに亡くなっているかどうかを判断しましょう。もし呼吸や脈が確認できた場合は、すみやかに救急車を呼んで病院へ搬送します。
すでに亡くなっているのが明らかな場合は、救急ではなく警察を呼ぶのが正しい対応です。警察が到着したら現場検証や検視、発見者・遺族の事情聴取などが行われます。その場で死亡確認と死因究明が完了した場合は、遺体検案書が作成され、遺族にご遺体が引き渡されます。
事件性が疑われる場合や身元の確認が難しい場合は、警察署に搬送されて検視・司法解剖・DNA鑑定などが行われ、身元と死因が明らかになってから遺族に引き渡されます。
ご遺体の搬送・安置
死亡確認がなされ、遺族にご遺体が引き渡された後は、ご遺体を安置所に搬送しなければいけません。遺体安置所は葬儀が始まるまでご遺体を安置する施設のことで、葬儀社の霊安室や公営・民営の霊安室のほか、自宅を利用することもあります。
安置所へ搬送されたら、ご遺体に消毒・殺菌・ドライアイスなどの必要な処置が施され、ご遺体の腐敗が進まないように保護されます。
葬儀準備
自殺者の葬儀のスケジュールは、通常の場合とほとんど変わりません。ただし、ご遺体の損傷が著しく激しい場合は、お通夜や葬儀・告別式の前に火葬を行うケースもあります。
葬儀社の手配を行う際は、葬儀社に死因が自殺であることを伝えましょう。葬儀社には守秘義務があり、第三者に漏れ伝わることはありません。
自殺者の葬儀は、通常どおり行うケース・親族のみが参列して内密に行うケース・通常どおり行うが死因を伏せるケースに分かれます。どのようなスタンスで葬儀を執り行うか、喪主や遺族の間でしっかりと話し合いましょう。
葬儀前に行うこと
- 葬儀日程・葬儀形式・参列者数・葬儀内容の決定
- 参列者に向けた訃報と葬儀の案内
- 死亡届の提出・火葬許可証の受け取り
- お布施の用意
お通夜
お通夜は、葬儀・告別式に先立って行われる式で、「故人と最後の夜を共に過ごす」という意味合いが込められています。現在は夕方から1〜2時間ほどかけて執り行われ、式後に「通夜振る舞い」という会食を開くのが一般的です。
お通夜の前には、遺族や生前とくに親しかった参列者のみが集まり、棺にご遺体を納める「納棺の儀」が行われます。故人が生前好んでいた食品やよく身につけていたものがあれば、副葬品として棺の中に一緒に納めることも可能です。
葬儀・告別式
葬儀・告別式はお通夜の翌日の日中に行われ、参列者が1人ずつ線香をあげたり僧侶が読経を行ったりします。式の中では故人に仏教の戒名を授ける「戒名の儀」が行われ、無事にあの世へ迎えるよう全員で祈りを捧げます。
式の最後に参列者によって棺の中に花が手向けられ、最後のお別れをした後にご遺体が出棺されます。
火葬
出棺されたご遺体は、火葬場で火葬されます。火葬には、遺族と生前とくに親しかった参列者のみが立ち会うのが一般的です。
参列者は待合室で火葬が終わるのを待ち、焼き上がったお骨を1本ずつ竹製の長い箸で骨壷へと拾い上げます。これは「お骨上げ」とよばれる儀式で、故人が無事にあの世へ向かえるよう橋渡しをするという意味合いが込められています。
遺骨を納めた骨壷は、遺族の自宅の祭壇で四十九日法要まで大切に保管します。
法要・納骨
葬儀後は毎日の供養や毎週の忌日法要のほか、亡くなった日を1日目として数えて7日目に初七日法要、49日目に四十九日法要を行います。近年は初七日法要を簡略化し、葬儀・告別式当日に繰り上げる方式が増えています。
四十九日は、仏教における「忌中明け」の区切りとなる大切な日です。四十九日法要は僧侶を招いて大々的に行われ、式後には納骨を行うのが一般的です。
葬儀後に対応すること
無事に葬儀を執り行った後は、通常と同様に四十九日法要や納骨の準備・香典返しの準備・保険や年金などの手続きが必要です。
それに加えて、自死遺族の場合は亡くなった場所によって損害賠償を支払うケースもあります。損害賠償が発生するケースとして挙げられるのが、自殺現場がホテル・賃貸物件・電車となった場合です。場合によっては、非常に高額の損害賠償が求められるケースもあります。
自殺者の葬儀を行う際の注意点
ここからは、自殺者の葬儀を執り行う際に遺族が注意すべきポイントを解説します。
遺体の修復などで通常より費用がかかる
自殺によって亡くなった方の葬儀は、通常の葬儀に比べて費用が多くかかることが予想されます。
ご遺体に損傷や外傷がある場合やご遺体の発見が遅れて腐敗が進んでいる場合は、葬儀に向けてご遺体に「エンバーミング」という処置が施されます。
エンバーミングは、ご遺体の消毒・殺菌を行って清潔な状態にしたり、ご遺体の修復やメイクなどを行ったりする処置です。専門知識を持った業者や湯灌業者によって行われるため、15万円〜25万円程度の追加費用が発生します。
また、ご遺体の引き渡しの際に発行される遺体検案書は、3万円〜10万円程度の発行手数料がかかります。検視・検案や司法解剖が行われた場合は、それにも追加の費用が発生します。
遺族の心的負担が大きい
大切な人を失った直後の自死遺族は、大きなショックや精神的な不安を抱えるケースがほとんどです。まだ心の整理がつかないうちに葬儀の準備が進められるため、ストレスや負担を感じやすい状態といえます。
少しでも負担が軽減されるよう、葬儀の打ち合わせや準備は遺族複数人で参加することをおすすめします。また、とくに精神的に厳しい状態が続いている方は、葬儀後に心のケアを受けることも選択肢に入れましょう。
参列者に死因を伝えるかどうかは慎重に
葬儀の参列者や会葬者に死因を伝えるかどうかは、遺族の判断に委ねられています。自死遺族のなかには、死因を公にすることを望まない方も少なくありません。死因を公開しないと決めた場合、葬儀社の協力のもと、参列者に死因が漏れないように対応します。
とはいえ、葬儀社はもちろん、医師・警察・役所担当者などの関係者に死因を伏せることはできないため、すべての人に対して死因を隠すことは不可能です。
ご遺体の損傷具合によっては拝顔しない選択も
自殺によって亡くなった方は、自殺の方法にもよりますが、ご遺体に何らかの損傷や外傷がみられるケースがほとんどです。
葬儀を行う際は、遺族や参列者に穏やかな顔を見せられるようエンバーミングやメイクなどで傷を修復しますが、場合によっては修復が難しいケースもあります。
葬儀で顔を出すのが難しいと判断した場合や、遺族が参列者に故人の顔を公開することを望まない場合は、拝顔をせずに葬儀を執り行うことも可能です。この場合は、棺のお顔にあたる部分に故人の写真を飾ることもあります。
自殺者の葬儀に参列する際の注意点
ここからは、自殺した方の葬儀に参列する際に気を付けるべきポイントを解説します。自殺は非常にデリケートな問題のため、参列者から遺族側への配慮が求められます。
参列は連絡があった場合のみ参列する
自死遺族のなかには、故人の死因を広く知られたくないと考える人や、葬儀は親族のみで行いたいと考える人も少なくありません。
自殺された方の葬儀に参列できるのは、遺族から参列を依頼された方のみです。自分宛に葬儀の案内が来なかった場合は、参列や弔問は控えるようにしましょう。
また、遺族に参列を依頼された場合は、ほかの人に亡くなった方の訃報や葬儀に参列することを伝えないのがマナーです。
死因を詮索しない
自殺者の葬儀では、あえて故人の死因をぼかして行うケースが珍しくありません。この場合は遺族の「死因を公開したくない」という意志を尊重し、死因を詮索しないのがマナーです。
また、自殺によって亡くなったことを遺族から聞いて参列していても、葬儀で死因を公表していない場合は葬儀場で死因にまつわる話をするのは控えましょう。
遺族の心に配慮する
突然大切な人を自死によって失ってしまった遺族は、大きなショックを受けていることが想像されます。葬儀は亡くなってから数日の間に行われることも多く、まだ心の整理がついていない遺族も多いでしょう。
自殺者の葬儀に参列する際は、より一層遺族の心に配慮することが求められます。むやみに遺族に話しかけることは控え、必要なときにやさしく寄り添う姿勢が大切です。
香典は遺族の対応を確認した上で用意する
葬儀に参列する際は、故人への弔意と遺族に対するお見舞いの気持ちを込めて香典を包むのが一般的です。しかし、自死遺族のなかには、葬儀における香典を辞退するケースも珍しくありません。
葬儀の案内を受けた際に香典を辞退する旨を伝えられたら、香典は包まずに参列するのがマナーです。香典の有無についてとくに何も連絡がなかった場合は、通常どおり包んで参列しましょう。
以下の記事では、香典の正しい包み方や金額相場、渡す際のマナーについて詳しく解説しています。ぜひ、あわせてチェックしてみてください。
お悔やみの言葉は手短に
葬儀に参列する際は、香典を渡すタイミングや喪主と顔を合わせたときなど、遺族に対してお悔やみの言葉を伝える場面があります。お悔やみを伝えるときはできるだけ手短に済ませ、それ以外の話をしないのがマナーです。
お悔やみの言葉 例文
「◯◯様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみを申し上げます。」
「この度は突然のことでお悔やみを申し上げます。」
遺族の心に寄り添った葬儀を行おう
自殺によって家族や大切な人を失った遺族は、突然の出来事に大きなショックを受けることでしょう。葬儀の準備はすぐに進めなければいけないため、遺族同士の支え合いが不可欠です。また、参列者は遺族へ十分に配慮した行動が求められます。
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