直葬を選ばれる方が増えるなかで「直葬における香典のマナーって、何に気を付けたら良いのだろう?」と疑問を感じている方は多いのではないでしょうか。一般的な葬儀とは異なり、香典を辞退するケースも多い直葬ではマナーも少し異なります。
本記事では、直葬における香典の基本マナーから、香典の相場・香典返しの注意点まで詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
直葬にも香典は必要?
直葬において、原則香典は必要ありません。直葬の場合は通夜や告別式を行わないため、遺族側が香典を辞退するケースはよくあります。
ただし、遺族側が香典を辞退する旨の通知を出していない場合は、念のため用意しておくのがマナーです。
香典に包む金額は、故人との関係や自身の年齢によって異なります。当日、受付で香典を出すかどうかを確認し、必要であれば渡すようにしましょう。
香典のみならず、直葬には一般葬とは異なるマナーが数多くあります。直葬のマナーについては以下の記事で詳しくまとめているので、こちらもお読みください。
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直葬に参列する際の香典に関するマナー
ここでは、直葬の香典に関するマナーを深掘りして解説します。
- 香典を渡すタイミング
- 香典袋の書き方
- 直葬に間に合わなかったときの渡し方
- 死産の場合は香典ではなく見舞金が無難
- 新札ではなく折り目のついたお札を使う
香典の扱い方に迷っている方は、参考にしてみてください。
1. 香典を渡すタイミング
直葬に参列する際は、受付で香典を渡すのが一般的です。受付で香典を取り扱っていない場合は、焼香の前に香典を渡しましょう。祭壇が設けられている場合は、焼香のタイミングで祭壇に供えるケースもあります。
香典を手渡すときに「この度はご愁傷様でございます」や「この度はお悔やみ申し上げます」などの言葉を添えるのが礼儀です。また、香典を直接手渡しする場合は両手で丁寧に渡すようにしましょう。
2. 香典袋の書き方
香典袋の書き方は、宗派によって異なります。主な宗派と香典袋の表書きは以下のとおりです。
宗教 | 表書き |
---|---|
神道 | 御霊前・御玉串料・御榊料・御神前料 |
仏教(浄土真宗以外) | 御霊前 |
仏教(浄土真宗) | 御仏前 |
キリスト教(カトリック) | 御霊前・御花料・御ミサ料 |
キリスト教(プロテスタント) | 御花料・献花料・忌慰料 |
なお、宗派がわからない場合は「御霊前」や「御香典」と書いておけば間違いはありません。
また表書きを記入する際は、薄墨色を用いるのが一般的です。薄墨色には「悲しみで筆に力が入らない」や「涙で墨が薄くなった」という意味があります。
表書きを連名で書く場合は中央に代表者を書き、左側にそのほかの名前を連ねていきます。4名以上の連名にする場合は「〇〇一同」と書き、各個人の氏名や住所・金額のリストを別紙に書き同封しましょう。
3. 直葬に間に合わなかったときの渡し方
直葬に参列できなかった場合は、あとから香典を郵送しても問題ありません。
現金を普通郵便で送ることは法律によって禁止されているため、現金書留で送ります。香典を郵便で送る場合は、香典袋に包んだものを封入しましょう。
また、弔問した際に香典を手渡しする方法もあります。弔問とは、遺族を訪問しお悔やみの言葉を伝える行為のことです。訪問する場合は、火葬から3日後~四十九日前までに訪問しましょう。
4. 死産の場合は香典ではなく見舞金が無難
死産で直葬が執り行われた場合、香典ではなく見舞金を贈るのが一般的です。
見舞金の封筒には、白無地または赤帯入りのお見舞い用のものを使い、表書きには「御見舞」と記載します。金額は関係性の高さによりますが、1~3万円程度が相場です。
5. 新札ではなく折り目のついたお札を使う
香典には新札ではなく、折り目のついたお札を包むのがマナーです。
新札は祝儀として使用するお金なので、不祝儀である香典には適しません。香典に新札を入れる行為は「不幸を予期してお金を用意していた」と遺族に捉えられ、印象が悪くなる恐れがあります。
香典にはATMで下ろしたお札や、財布の中のお札を使うのが良いでしょう。ただし、古札とはいっても汚れや破れのあるお札は避け、きれいなお札を選ぶことが大切です。
直葬における香典の相場
香典の相場は、一般的には1万円から3万円程度です。ただし、故人や遺族との関係性によって、香典の金額は変わります。香典に包む金額の目安は以下のとおりです。
関係 | 20代 | 30代 | 40代 |
---|---|---|---|
祖父母 | 1万円 | 1~3万円 | 3~5万円 |
親・義理の親 | 3~10万円 | 5~10万円 | 10万円~ |
兄弟・姉妹 | 3~5万円 | 5万円 | 5万円~ |
叔父・叔母 | 1万円 | 1万円 | 1~3万円 |
いとこ | 1万円 | 1万円 | 1~3万円 |
上司 | 5,000円~ | 5,000円~ | 1万円~ |
上司のご家族 | 3,000円~ | 3,000円~ | 5,000円~ |
同僚・部下 | 5,000円~ | 5,000円~ | 1万円~ |
同僚部下のご家族 | 3,000円~ | 3,000円~ | 5,000円~ |
故人が親族の場合は、5万円から10万円程度の香典を包むこともあります。
香典の金額は、自分の経済状況に合わせて無理のない範囲で決めるのが良いでしょう。直葬では香典を辞退するケースも多いため、事前に確認しておくと安心です。
遺族側は、直葬で香典を受け取ったら香典返しが必要
直葬を執り行って香典を受け取った場合、遺族側は香典返しを贈ります。香典返しは、香典の半分~3分の1程度の金額が目安です。
一般的には、3,000〜5,000円程度の品物を贈ります。香典返しには、コーヒー・紅茶・缶詰など、日持ちのする食品がおすすめです。タオルやハンカチなどの実用品も喜ばれるでしょう。
香典返しは、できるだけ早めに贈るのがマナーです。あらかじめ準備していた場合は、香典を頂いたタイミングで手渡ししてもかまいません。あとから渡す場合は、四十九日の忌明けあとに渡しましょう。
直葬において押さえておくべきポイントについて全般的に知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
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直葬を執り行う際に注意すべきこと
直葬は、近年広まりつつある葬儀形式なので、火葬しか行わないスタイルが周囲から理解されないケースも珍しくありません。ここでは、直葬を選択する際に注意すべきポイントを5つ紹介します。
- 周囲の理解を得る
- 参列希望者への配慮を忘れない
- 遺体の安置場所を確保する
- 菩提寺に事前確認する
- 葬祭費を受け取れないケースがある
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 周囲の理解を得る
直葬で葬儀を執り行う際は直葬を選択した理由を親族や周囲の人に丁寧に説明し、理解を求めることが大切です。「故人の遺志だったため」「経済的な負担を減らすため」など、理由を明確に伝えましょう。
また、以下のポイントについても親族に共有しておくことをおすすめします。
- 法事等の供養はどうするか
- 葬儀後の納骨やお墓はどうするか
それでも理解が得られない場合は、遺族の意思を優先することも大切です。
2. 参列希望者への配慮を忘れない
直葬は参列者を限定して行うことが多いですが、参列を希望する人もいます。とくに、故人の親しい友人や仕事関係の人は、参列したいと考えている可能性があるでしょう。
参列を希望している可能性が高い方には、事前に連絡を入れて参列の意思を確認します。
一方、参列を断る場合は丁寧に理由を説明し遺族側の意向を伝えましょう。なお、故人が生前仲良くしていた方には、状況に応じて以下のことを説明しておくとトラブルに発展しにくくなります。
- 葬儀は近親者のみであげること
- 直葬は故人の意志で選択したこと
- 弔問を受けられる時期
とくに弔問は、火葬後すぐに受け付けると弔問客が重なって対応が大変になるケースがあるため、ある程度日程をあけてから受け入れるのがおすすめです。
3. 遺体の安置場所を確保する
故人が亡くなったら、遺体の安置場所を確保する必要があります。直葬では、自宅に遺体を安置しないケースも珍しくありません。その場合、葬儀社の安置施設などを利用するのが一般的です。
安置場所は、遺体を安置できる十分なスペースがあるかどうかを確認しましょう。安置場所によっては、遺族が付き添えない場合もあるため、事前によく確認しておくことが大切です。
安置場所の確保が難しい場合は、葬儀社に相談するのがおすすめです。
なお日本の法律では、死亡後24時間は火葬できないことを押さえておきましょう。
4. 菩提寺に事前確認する
直葬を行う場合、菩提寺への事前連絡が必要です。菩提寺によっては直葬を認めていない場合があるため、住職に直葬の意向を伝え、了承を得ておくことが大切です。
どうしても菩提寺の了承が得られない場合は、他の寺院への納骨を検討しましょう。納骨堂や永代供養墓の利用も選択肢のひとつです。
5. 葬祭費を受け取れないケースがある
直葬が葬祭費受給の対象になるかは、地域ごとの決まりによって異なります。
自治体によっては、火葬のみの場合は葬祭費が支給されないケースがあるので注意が必要です。また、故人の国民健康保険に未納があった場合も、葬祭費が受給対象外となってしまいます。
葬祭費が支給されない場合、葬儀にかかる費用は全額自己負担となるでしょう。そのため直葬によって葬祭費が支払われるかについては、事前に確認しておくことをおすすめします。
直葬における香典以外のマナー
直葬におけるマナーを服装と挨拶状に絞って紹介します。直葬に参列する予定のある方は、参考にしてみてください。
1. 服装について
直葬では、基本的に黒い礼服が無難です。男性は黒のスーツに白いワイシャツ、黒のネクタイを着用します。女性は黒のワンピースやスーツを着用し、アクセサリーは控えめにするのが良いでしょう。
ただし、直葬では平服での参列を認められるケースもよくあります。その場合は、本喪服ではなく略喪服を身に付けるようにしましょう。
直葬における服装のマナーについては、以下の記事にて詳しく解説しています。より詳しく知りたい方はこちらの記事もお読みください。
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2. 挨拶状について
直葬を執り行った遺族は、故人が生前お世話になった方たちに訃報を知らせる挨拶状を送るのがマナーです。挨拶状は、葬儀後1~2週間以内に送るようにしましょう。
直葬は参列者を限定しているため、故人の死を生前お世話になった人に周知できないことが理由です。訃報を知らせるタイミングが遅れてしまうと失礼にあたるため、なるべく早く周知する必要があります。
一方、香典をくれた方には、故人の死を認識しているため、香典返しとともに四十九日後に挨拶状を送っても問題ありません。
直葬の挨拶状にまつわるマナーについては、以下の記事で詳細に解説しています。挨拶状についてより詳しく知りたい方は、参考にしてみてください。
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直葬における香典は遺族の意向に合わせましょう
直葬において遺族が香典を辞退するケースが多いため、意向を事前に確認しておくと良いでしょう。もし確認できない場合でも、念のため用意しておけば心配ありません。
香典を用意する場合は1万円~3万円程度が相場ですが、故人や遺族との関係性に応じて柔軟に対応しましょう。
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