近年は、一日葬や家族葬といった葬儀の規模や流れが異なる形式を選ぶ人が増えてきています。一日葬を検討するなかで葬儀のタイムスケジュールが気になっている人もいるでしょう。また、一日葬に参列予定で葬儀の流れを知りたいといった声もあります。
今回は、一日葬のタイムスケジュールについて葬儀工程ごとの内容も踏まえながら解説していきます。
スケジュールの詳細について理解したうえで、葬儀形式の選択や参列する際のスケジュール調整に役立ててみてください。
この記事を要約すると
- 一日葬の流れは、一般的な葬儀から「通夜」を省いたのみで、その他は同じになります。 そのため一般的には「葬儀社に依頼」「遺体搬送」「打ち合わせ」「納棺」「告別式」「出棺」「火葬」「繰上げ法要」の流れになります。
- 一日葬の所要時間は、3.5〜6.5時間です。タイムスケジュール例では、「納棺」が9時から始まり、12時前後に「告別式」が終わり、その後「火葬」を15時頃まで行い、最後に「繰上げ初七日」を行い、「散会」は16時頃になります。
- 一日葬で参列者が帰るタイミングは、告別式終わりの出棺を見送った後になるので、12時頃になるでしょう。親族の場合は、火葬後のお骨上げまで参列するのが一般的なので、15時頃が目安です。
一日葬のタイムスケジュール(亡くなった日)
一日葬は、故人が亡くなった日と翌日の2日間で執り行われます。一般葬と異なりお通夜がないため、参列するのは2日目の1日だけとなります。故人が逝去した日の流れは以下のとおりです。
【逝去した当日】
- 葬儀社に連絡して打ち合わせする【所要時間:1~3時間程度】
- 参列者に連絡する【所要時間:1時間程度】
逝去した当日にやること | 所要時間 |
---|---|
葬儀社に連絡して打ち合わせする | 1~3時間程度 |
参列者に連絡する | 1時間程度 |
ここでは、故人が逝去した1日目の流れと所要時間について解説していきます。一日葬の特徴や家族葬との違いなどに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。気になる方はチェックしてみてください。
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葬儀社に連絡して打ち合わせする 【所要時間:1~3時間程度】
故人が逝去したあとは、医師により死亡診断書が発行され、葬儀の準備を始めていきます。まずは、インターネットで要望に合いそうな葬儀社を見つけたうえで連絡しましょう。
葬儀社が病院に駆け付けたあとは、ご遺体を安置場所へ搬送したうえで葬儀に関する打ち合わせを行ないます。
【葬儀社との主な打ち合わせ内容】
- 喪主と葬儀形式の決定(宗教の確認)
- 葬儀予算について
- 葬祭用品や会葬返礼品など、葬儀プラン詳細について
- 葬儀場所と日時の決定
- 参列者数の把握
葬儀スタッフから、予算に応じた葬儀プランの種類や葬祭用品の内容などの説明があり、1つずつ決定していきます。話し合いの内容にもよりますが、1〜3時間ほどで打ち合わせは終了するのが一般的です
葬儀の打ち合わせに関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
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参列者に連絡する 【所要時間:1時間程度】
葬儀に関する話し合いが終わったあとは、参列者に葬儀案内の連絡をします。一日葬は、家族葬と異なり、家族や親族以外の人も葬儀に参列できます。声をかける人に明確な基準はないため、生前に故人と付き合いのあった知人や友人、勤務先などに連絡していきましょう。
【葬儀の案内で伝えること】
- 誰がいつ亡くなったのか
- 葬儀式の日程と形式
- 喪主の名前と間柄
遺族間で手分けしながら、電話やメールで連絡していきます。連絡する順番は「親族や近親者」「僧侶などの宗教者」「友人や知人」「職場や所属団体の関係者」「隣近所や町内会」の順番が一般的です。
故人が逝去した時間にもよりますが、ここまでが1日目の流れとなります。
一日葬はお通夜がないため、遺族は故人との時間をゆっくり過ごせます。また、参列者が1日目から葬儀場に駆け付ける必要がないこともメリットといえるでしょう。
一日葬のタイムスケジュール(亡くなった翌日)
葬儀式・火葬などは、すべて2日目に執り行われます。ただし、火葬場のスケジュールによっては逝去した翌日ではなく複数日空いてから葬儀が執り行われるケースもあります。
タイムスケジュール | 所用時間 | 逝去した翌日にやること |
---|---|---|
9:00~ | 30分~1時間程度 | 納棺の儀 |
10:00~ | 1〜2時間程度 | 葬儀・告別式 |
12:00~ | 30分~1時間程度 | 喪主が挨拶した後に出棺する |
13:00~ | 1~2時間程度 | 火葬・お骨上げ |
15:00~ | 30分程度 | 繰り上げ法要 |
16:00 | 散会 |
各工程の内容や所要時間について、解説していきます。
【9:00〜】納棺の儀
納棺の儀とは、故人があの世へ旅立つための身支度を指します。納棺師立ち会いのもと、故人を棺に納める前に以下のような作業を行ないます。
【納棺の儀の内容】
- 末期の水で故人の唇を濡らす
- 湯灌で故人を清める
- 死化粧して死装束を着せる
- 故人を棺に納めて副葬品を入れる
遺族が儀式の一部を手伝うことはありますが、基本的に納棺師が作業します。納棺に関するオプションにもよりますが、儀式にかかる時間は1時間前後です。
今回は2日目のスケジュールとして紹介していますが、故人が逝去した時間によっては1日目に執り行うこともあります。
納棺の儀は、故人の肌が露出することもあるため遺族や親族のみが参加します。一般の参列者は、納棺の儀の時間に合わせて参列する必要はありません。納棺の儀の詳細に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
【10:00〜】葬儀・告別式
納棺の儀で故人を棺に納めたあとは、葬儀・告別式を執り行います。葬儀が終わったあとのスケジュールにもよりますが、午前9時頃から始めるのが一般的です。
葬儀・告別式の内容は、以下のとおりです。
【葬儀・告別式の流れ】
- 式の開始
- 僧侶の入場
- 僧侶による読経
- お焼香
- 弔辞、弔電
- 僧侶による法話
- 喪主挨拶
葬儀の受付は、開始時刻の30〜60分前から始まるので、葬儀開始時刻の30分前には会場に到着しておくようにしましょう。葬儀自体の所要時間は1.5時間前後です。
葬儀・告別式については、別の記事で詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
【12:00〜】喪主が挨拶した後に出棺する
葬儀の最後には喪主から挨拶があり、火葬場に向けて出棺します。出棺の流れは以下のとおりです。
【出棺の流れ】
- 別れ花で生花を遺体の周りに飾る
- 釘打ちで葬儀に蓋をする
- 遺族が中心となって棺を霊柩車に乗せる
故人を霊柩車に乗せた後は、霊柩車には遺族の代表者が同乗し、ほかの人は自家用車か葬儀社が用意したバスなどで火葬場へと向かいます。出棺全体の所要時間は30〜60分ほどです。
火葬は遺族や親族のみ参加するのが一般的です。火葬に参列しない人は、出棺を見送るまでが一日葬の流れとなります。
【13:00〜】火葬・お骨上げ
火葬場に到着後は「納めの式」を執り行ったあとに、火葬します。火葬には1~2時間ほどかかるため、参列者は控室で軽食を取りながら待機します。火葬が終わると「骨上げ」を係員の指示のもと行なう流れです。
喪主によっては、火葬中に食事(精進落とし)の席を設けることがあります。本来は四十九日の忌明けや初七日法要の際に行なわれますが、一日葬では火葬中に執り行うケースもあります。
後述する繰り上げ法要がない場合、ここまでが葬儀の流れです。葬儀が終わったあとは、参列していた親族は帰宅します。喪主・遺族は、遺骨を自宅に持ち帰り、後飾りの祭壇を設けたうえで遺骨を安置して葬儀終了となります。
火葬については以下記事でも解説しています。
【15:00〜】繰り上げ法要
火葬までが一日葬の流れですが、別日に初七日法要を執り行うのが難しい場合、葬儀当日に繰り上げ法要することもあります。
繰り上げ法要を実施する場合、遺骨と一緒に斎場へと戻り、初七日法要を執り行います。繰り上げ法要の所要時間は30分ほどです。
【16:00】散会
法要が終われば、一日葬の儀式は終了となり、散会となります。
精進落としを行うケースもありますが、すべての葬儀が終わってから提供するケースは稀であり、基本的に火葬中に遺族と親族で精進落としを食べます。
葬儀内容にもよりますが、午前9時頃から一日葬を始めた場合、終わるのは午後2〜4時くらいになると考えておきましょう。
初七日法要については、以下記事でより詳しく解説しいます。
一日葬の注意点
一日葬と一般葬では葬儀の流れが異なります。
一日葬はお通夜がないため、1日目は故人との時間をゆっくり過ごせたり、参列する親族の宿泊手配の手間を省けたりします。その一方で、一日葬ならではの注意点も存在します。
【一日葬の注意点】
お通夜がない分、参列者がスケジュールを合わせにくい1日ですべての儀式を執り行うため、余裕がなく忙しくなる可能性がある菩提寺や親族の理解を得られない可能性がある
一日葬ではお通夜がないため、お通夜か葬儀のどちらか一方に参列することができません。葬儀が2日に分かれていないので、スケジュールの調整が難しく参列できない人が増える可能性があります。また、葬儀後の弔問も増えるため対応が大変と言えるでしょう。
近年は、一日葬や家族葬に対する理解が広まってきているものの、宗教上の理由からお通夜を省く葬儀を認めない菩提寺もなかにはあります。また、親族や遺族のなかに反対する人がいる場合は了承を得る必要があります。
一日葬の注意点に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
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一日葬の注意点は?メリット・デメリットを徹底解説
一日葬をおすすめする人
一般葬・一日葬・家族葬には、それぞれにメリット・デメリットがあります。故人や喪主の意向に合った葬儀形式を選ぶことが大切です。一日葬をおすすめするのは以下のような人です。
【一日葬をおすすめする人】
- 遠方に住んでいる親族が多い
- 参列予定者に高齢の人が多い
- 葬儀費用をなるべく抑えたい
- 葬儀費用は抑えつつ、なるべく多くの人に参列してほしい
お通夜のない一日葬は、2日に分けて葬儀に参列する必要がないため、遠方からくる人の宿泊手配をする必要がありません。参列者の負担も最小限に抑えられるでしょう。
また、お通夜とその後の通夜振る舞いがないので、葬儀費用を抑えつつ、親族や遺族以外の人にも参列してもらえます。
一日葬に関するよくある質問
最後は、一日葬に関する4つのよくある質問に答えていきます。一日葬の内容や参列者側のマナーに関する質問と回答を記載したので、葬儀に参列する予定がある人はぜひチェックしてみてください。
焼香のみの参列でも問題ない?
スケジュール調整が難しく、葬儀式への参列が難しい場合、焼香だけでも失礼には当たりません。
近年は、いつでも焼香できるように焼香台を設置する葬儀社が増えてきています。ただし、なるべく祭壇に向かって手を合わせてあげるようにしましょう。
焼香のみを希望する場合は、受付で香典を渡したあとに事情をスタッフに伝えましょう。
参列できない場合はどうすべき?
一日葬に参列できない場合、事前にその旨を喪主や遺族の方に伝えましょう。後日弔問したい場合は、葬儀から1週間後を目処に喪主へ連絡したうえで訪問します。
遠方に住んでいる場合は、香典のみ郵送しても問題ありません。郵送する場合は、お悔やみの言葉を書いた手紙を添えて、現金書留で送りましょう。
葬儀前日は何をする?
葬儀前日は、ご遺体を搬送した後に葬儀社と葬儀日程についての打ち合わせを行ないます。
日程が決定した後は、葬儀に参列してもらいたい人に葬儀案内の連絡をする流れです。お通夜がないため、打ち合わせが終わったあとはゆっくり故人との時間を過ごせます。
参列者側も故人が逝去した当日は、服装や香典を準備するだけで、葬儀会場に駆け付ける必要はありません。「葬儀式に参加できないから」と、葬儀前日に遺族の自宅に駆け付ける人がいますが、遺族の負担になるため葬儀の1週間後を目処に弔問するようにしましょう。
参列者が帰るタイミングは?
一日葬の参列者が帰るタイミングは、葬儀式が終わり出棺を見送ったあとが一般的です。親族は、火葬後の骨上げが終わったタイミングで帰ります。帰りの新幹線や飛行機の時間でやむを得ない場合を除き、なるべく最後まで参列しましょう。
とはいえ、スケジュールの調整が難しい場合は、前述したとおり香典を渡し焼香を済ませてすぐ帰っても失礼には当たりません。
各葬儀の流れや特徴を理解したうえで最適な形式を選択しましょう
一日葬は、お通夜がないため1日のみで葬儀が執り行われます。葬儀がないこと以外に一般葬と大きな違いはなく、流れや所要時間も変わりません。葬儀当日は、午前9時頃から葬儀開始となり遺族や親族以外は出棺を見送る11時頃に帰宅する流れです。
遺族や親族は、火葬まで行い帰宅しますが、プランによっては繰り上げ法要を行うことがあります。すべての工程が終るのは14〜16時と思っておくとよいでしょう。
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