葬儀の基礎知識

家族葬とは?費用・メリット・注意点やマナーも解説

家族葬とは?費用・メリット・注意点やマナーも解説

近年「家族葬」を行う人は増加傾向にあります。家族葬とは言葉のとおり、家族を中心に故人の身近な人たちで送る葬儀の形式です。高齢化や核家族化で遠方に住む親族の葬儀参列が難しくなるなか、コンパクトな家族葬は時代の変化に合った葬儀といえます。

しかし、家族葬を執り行いたいと思った時、漠然としたイメージはあるものの、費用や気を付けるポイントがわからない方は多いでしょう。

この記事では、家族葬の概要や費用、メリット・デメリット、マナーなどについても解説しています。家族葬で、どのような葬儀を行うかのイメージが掴めるでしょう。大切な方の葬儀を行う際の参考となれば幸いです。

お急ぎ

家族葬とは

家族葬とは、近年増えてきた葬儀の形式です。家族葬に明確な定義はありませんが、大勢の弔問客が訪れる従来の葬儀とは異なり、家族や親しい人のみのプライベートな空間で行われるのが一般的です。

子どもや孫などの数人で行うものから数十人で行うものまで、規模はさまざまです。僧侶が読経を行う従来の仏式のほか、無宗教で行われるものもあります。

一般葬との違い

一般葬と家族葬との一番大きな違いは、参列者や弔問客の範囲です。一般葬では多くの場合、親族は3親等以内が参列し、会社の同僚や取引先などが弔問に訪れます。対して家族葬は、家族とごく親しい友人だけで行われます。

また一般葬は通常、宗教的儀式に則って行われますが、家族葬では必ずしも宗教的儀式が行われるとは限りません。無宗教など、自由な形式で行われることもあります。

直葬との違い

直葬も規模の小さな葬儀の形式ですが、直葬と家族葬は葬儀の流れが異なります

直葬では通夜や葬儀を行いません。24時間の安置期間が過ぎたら出棺し、火葬となります。一方、家族葬では通常、通夜・葬儀を行います。

直葬については以下の記事でご紹介しています。詳しくは以下をご参照ください。

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家族葬にはどこまでの親戚に参列してもらう?

家族葬を行う際、参列者の範囲は2親等以内であることが一般的です。ただし、先に述べた通り、家族葬に明確な定義はありません。血縁関係の薄い親戚でも、生前頻繁に親しくしていた場合は、参列してもらうこともあります。

家族葬に呼ばない親族には、事前に家族葬である旨をお伝えして参列をご遠慮いただくか、、葬儀が終了してから訃報を連絡するとスムーズです。どちらの場合も家族葬とする理由を丁寧に説明し、角が立たないようにすることが重要です。

なお、1親等・2親等の区分については以下のとおりです。

参列者の範囲詳細
1親等父、母、子、子の配偶者、配偶者の父・母
2親等兄弟姉妹、祖父母、孫、兄弟姉妹の配偶者、孫の配偶者、配偶者の兄弟姉妹、配偶者の祖父母

家族葬の費用はどれくらい?

家族葬を考えた時、気になるのが費用です。一般葬と比較してどうなのか、何にどれくらいの費用がかかるのか、といった点をご紹介します。

費用の相場

特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)をもとに算出した葬儀費用の相場は約119万円です。一方で、家族葬の費用は約50万円~150万円と幅はありますが、 相場の目安は100万円前後といえるでしょう。

費用の内訳

家族葬の費用の内訳は、一般的な葬儀と大きな違いはありません。具体的には以下のようになります。

費用内訳詳細
葬儀費用寝台車、葬儀場使用料、祭壇、遺影、人件費など
飲食接待費通夜ぶるまい、精進落とし、返礼品など
宗教者への謝礼お布施(神道の場合は祭祀料・キリスト教の場合は献金)、お車代・御膳料

なお、家族葬を無宗教で行う場合、お布施など宗教者への謝礼は不要です。

費用が変わる要因

家族葬の費用が変わる要因は、参列者・会葬者の人数です。

身内や親族のごく限られた数人で行う家族葬なのか、葬儀会場で数十人が参列して行う家族葬なのかで費用は大きく変わります。

また葬儀社のスタンダードなプランから変更し、家族葬ならではの自由な形式の葬儀とした場合も費用が変動するでしょう。

家族葬のメリット

家族を中心に、親しい人たちが集まって行うのが家族葬です。ここでは、家族葬を選ぶことによってどういったメリットがあるのかをご紹介します。

故人とゆっくりお別れできる

家族葬のもっとも大きな魅力は、故人とゆっくり最後の時間を過ごせることです。

一般葬では、葬儀内容の決定をはじめ、会葬者へのお礼・参列者の席次決め・会食の人数の確認など、大小さまざまな作業が発生します。葬儀に駆けつけてくれた親族に失礼のないようにと、一般葬では精神的な負担が大きくなりがちです。

家族葬は、親しい人たちのみで行うため事務的な作業が少なくなり、細かな配慮や気遣いも減らせます。故人をよく知る家族や友人と、ゆっくりと思い出をふり返る時間が持てるでしょう。

葬儀費用を抑えられる

家族葬を少人数で行う場合、葬儀費用は安くなる傾向があります

自宅で家族葬を行う場合は会場使用料がかかりません。また、数人なら小さな会場で行えるため、会場使用料もそれほど大きくならないでしょう。参列者数が少ないと、精進落としをはじめとした飲食接待費も少なくなります。

葬儀準備の手間が省ける

家族葬では葬儀準備の手間が省けます。
一般葬では、参列する親族の把握・席順決め、会食に参加する人数の確認など、儀式ごとに細かな準備が必要です。一方、家族葬はあらかじめ親しい人たちのみに絞り込むので、準備すべきことが少なくなります

自由な形式で葬儀ができる

家族葬は身近な親族と少人数で行うため、故人や喪主の意向を尊重しやすいといえます。無宗教で行ったり、祭壇の装飾や式の進行を自由に決めたり、希望に合わせた葬儀を執り行いやすいでしょう。

家族葬のデメリット

親族水入らずで行う家族葬ですが、デメリットはあります。ここでは家族葬のデメリットについて触れておきましょう。

呼ばない親族や友人知人への対応が必要

葬儀に呼ぶ親族を絞り込むことで、呼ばない親族への対応が必要になります。また、故人の友人や知人への訃報のタイミングなどにも迷われる方は多いでしょう。

対策としては、訃報とともに家族葬とすることを丁重に伝える、後日の訃報とするなどの方法があります。また、故人の交友関係が広かった場合などは、後日改めてお別れ会を開く方法もあります。

費用の支払いが実費になりやすい

家族葬では、実費による葬儀費用の負担が大きくなることがあります。これは参列者を絞ることで香典が少なくなるためです。

一般葬では参列者や弔問客から香典をいただきますが、家族葬では香典はごくわずかとなります。小さな規模の家族葬でも、葬儀費用から香典を差し引いた額が一般葬と変わらないこともあるでしょう。

菩提寺に理解が得られない場合がある

菩提寺がある場合、自由な形式の家族葬を行うことに理解が得られない恐れがあります

葬儀での読経や戒名授与は、お寺にとって重要な儀式です。納骨をするために戒名授与が必要になることもあるので、菩提寺がある場合は、家族葬での読経や戒名授与について事前に確認しましょう。

以下の記事では、家族葬のメリット・デメリットについて詳細に解説しているので、併せてお読みください。

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家族葬の流れ

家族葬の流れは、一般葬とほとんど変わりませんここからは家族葬の流れを紹介します。
以下の記事では家族葬の流れをより詳細に解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。

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ご逝去・ご遺体安置

ご逝去が病院の場合、医師の死亡確認・死亡診断書の発行後速やかに葬儀社へ連絡し、お迎えを待ちます。およそ1時間でお迎えが到着し、ご遺体を安置場所へと搬送します。

ご自宅でご逝去した場合は主治医へ連絡し、死亡が確認されたら死亡診断書を発行してもらいます。葬儀社に連絡し、ドライアイスの用意をはじめご遺体安置の準備を進めます。

安置場所は、自宅のほか民間の安置施設や葬儀社の安置室などがあります。ご遺体安置について詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。

関連: ご遺体安置とは?費用相場や安置場所の決め方を解説

家族葬の打ち合わせ

ご遺体安置後は、葬儀社と葬儀の打ち合わせを行います。葬儀の打ち合わせで決めることは以下のとおりです。

  • 喪主の決定
  • 葬儀の形態
  • 宗教の確認
  • 日時の決定
  • 場所の確認
  • 参列者数の把握
  • プランの決定
  • 葬祭用品等の確認
  • 初七日法要の有無
  • 通夜ぶるまい・精進落としの詳細
  • 全体予算の確認

家族葬を実施するにあたって希望がある場合は、打ち合わせの際に葬儀社担当に伝えましょう。故人の趣味や好きだったもので会場を飾ったり、音楽や映像を流したりすることもあります。

葬儀の打ち合わせについて詳しく知りたい人は、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。

関連: 葬儀の打ち合わせで確認することは?打ち合わせをするタイミングや注意点も解説

通夜

家族葬でも一般葬と同様に読経やお焼香、通夜ぶるまいなどがあります。通夜や通夜ぶるまいの内容は、喪主の希望にあわせて執り行われます。

なお、近年の家族葬では弔問客が訪れない場合もあるため、通夜を省略したり簡略化したりするケースも出てきました。通夜がない場合、一日葬という形式が該当します。ただし、通夜の省略や簡略化については、事前に僧侶への確認が必要です。

通夜に関しては以下の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。

関連: お通夜の流れや服装のポイント、持ち物を解説!押さえておくべきマナーも紹介

葬儀・告別式

葬儀・告別式も喪主の希望の流れで行われます。菩提寺がある場合、葬儀内容の希望について、僧侶と相談しておくことも大切です。行き違いからのトラブルがないよう注意しましょう。特に希望がない場合は従来の一般葬と同じく、読経・お焼香など仏式の流れで進行します。

葬儀・告別式に関しては以下の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。

関連: 葬儀・告別式とは?2つの違いや流れ、準備すべきことや注意点を徹底解説

出棺・火葬・初七日法要

葬儀・告別式の最後に釘打ちを行った後、出棺します。釘打ちとは、出棺前に柩の蓋を閉め血縁の近い順に釘を売っていく儀式のことで、近年では省略される場合もあります

出棺後、参列者と火葬場へ行き火葬を行います。初七日の繰り上げ法要の場合は火葬後に、繰り込み法要の場合は火葬の前に行います。

初七日法要については、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。

関連: 初七日法要はいつ行う?準備や流れ、精進落とし・香典のマナーを解説

葬儀後

葬儀後は、通常精進落としが行われます

家族葬の場合、喪主の考えによって精進落としを簡略化してお弁当にしたり、精進落とし自体を省略したりすることもあります。精進落としを簡略・省略する場合、事前に参列者に知らせておきましょう。僧侶への御膳料も必要となります。

精進落としについて詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。

関連: 精進落としとは?しない場合のマナーや挨拶例文を解説

服装・香典などのマナー

葬儀の機会はそう多くないので、服装やマナーがうろ覚えになることも多いものです。ここでは、家族葬を行う場合の服装やマナーについて解説します。

服装のマナー

家族葬での服装は基本的に一般葬と同様に喪服を着用します。

性別服装のマナー
男性ブラックスーツ、黒ネクタイ、白シャツ、黒靴下、黒革靴
女性黒ワンピース・アンサンブル、黒ストッキング、黒パンプス

バッグは黒色を選び、女性のアクセサリーは真珠のものが適切です。冬場のコートなどに黒いものがない場合、ネイビーやグレーなど落ち着いた色を選びましょう。

喪服がない場合、レンタルする方法もあります。葬儀社によっては喪服の手配も行っているので、確認してみましょう。
また以下の記事でも家族葬の際の服装について解説しています。

関連: 家族葬の服装は?身内だけなら普段着OK?持ち物やマナーも解説

香典のマナー

家族葬での香典の有無は喪主の考え方次第です。家族葬では香典返しの手間を省くため香典を辞退するケースも見られます。香典を辞退する場合、事前に参列者に連絡しておきましょう。親族として家族葬に参列する場合は、喪主から特に連絡がない限りは香典を用意します。

香典の相場は以下のとおりです。

故人との関係金額の相場
両親5万円~10万円
兄弟姉妹3万円~5万円
祖父母1万円~5万円

家族葬に関連するよくある質問

家族葬の気になるポイントをまとめました。これから家族葬を行う方や家族葬に参列する方は、確認してみてください。

家族葬に参列しますが香典を辞退すると言われました

前述のとおり、香典を受け取るかどうかは喪主の考え方次第です。香典辞退の連絡が事前にあれば、喪主の意向を尊重し、香典を無理に渡す必要はありません

香典以外で弔意を表したい場合は、供花や供物にすると良いでしょう。手配は葬儀社を介して行われます。まずは喪家に確認をとりましょう。

家族葬をしましたが香典をいただきました

家族葬でも香典をもらったらお返しをしましょう。当日返しの品を用意していない場合は、後返しとして、四十九日を目途にお返しします。

お返しには、香典の1/3~1/2の金額のものを選びます。弔事のお返しには、食品や消耗品をはじめ残らないものを選びます。

家族葬の場合に弔電を送るか迷っています

家族葬の場合でも、弔電を送っても問題ありません。ただし、喪主から香典や弔電などの一切を辞退するなどの意向が示されている場合はそれに準じます

香典辞退を聞いているが弔意を伝えたいときに利用しやすいのが弔電です。葬儀の場所や日時を確認し、弔電は葬儀場へと送ります。

近親者水入らずの家族葬で心のこもったお別れを

家族を中心にごく親しい人だけで故人を送るのが家族葬です。特に希望がなければ、家族葬の全体の流れは一般葬と変わりません。

家族葬の多くは少人数で行われるため費用や手間が省け、精神的な負担が減るのがメリットです。自由な形式で葬儀ができるのも家族葬ならではでしょう。

ただし、家族葬には、参列しない親族への対応が増えることや、実費の負担が大きくなることなどのデメリットもあります。菩提寺によっては自由な葬儀が難しいこともあるので事前に確認しましょう。

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