家族や親族の訃報を突然受けた際、社会人がまずしなければならないのが職場への連絡です。とはいえ、忌引き休暇についてよくわからない方も多いのではないでしょうか。忌引き休暇に決まった共通ルールがないのがその原因かもしれません。
この記事では忌引き休暇の日数や、どこまでの親族に適用されるのかなど、会社へ忌引き申請する前に確認しておきたい情報をまとめました。業務に差し支えなく忌引き休暇を取れるよう、ぜひ参考になさってください。
この記事を要約すると
- 忌引き(きびき)とは、家族・親族に不幸があった際、葬儀や心の整理をするために用意された休暇制度です。ただし、法律で義務付けられた休日ではないため、忌引き休暇がない会社もあります。
- 忌引き休暇を取得できるのは、一般的に二親等~三親等以内の親族です。休める日数は配偶者が最大で、7〜10日が目安です。その他の親族は1〜7日間と、血縁関係によって変わります。
- 忌引き休暇の取得が決まったら、就業規則を確認し、関係者等へ休暇取得の連絡をします。業務の引き継ぎを行い、必要書類の確認もしておきましょう。
忌引き(きびき)とは
「忌引き」とは、家族・親族など身内が亡くなったときに喪に服すること、またはそのために職場や学校を休むことをいいます。
忌引き休暇は、多くの会社や学校などで休暇制度の一つとして導入されています。「慶事:結婚式などの祝い事」「弔事:葬儀などのお悔み事」とセットで慶弔休暇としていることもあります。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「会社における福利厚生施策の実態に関する調査」によると、会社の慶弔休暇制度の導入率は90.7%となっています。
忌引き休暇と公休日・有給休暇との違い
まず、忌引き休暇・公休日・有給休暇との違いを表にまとめると以下のようになります。
忌引き休暇 | 公休日 | 有給休暇 | |
---|---|---|---|
休暇種別 | 法定外休暇 | 法定休日+所定休日 | 法定休暇 |
日数 | 状況によって異なる | 法定休暇は週に1日または4週間に4日以上 | 勤続年数・労働時間によって異なる |
取得条件 | 会社が任意に設定 | 法定休暇は労働基準法規定 | 労働基準法規定 |
使用目的 | 親族・近親者の葬儀参加など | 使用目的を問わない | 使用目的を問わない |
給与の有無 | 会社により異なる | 無給 | 有給 |
忌引き休暇は会社が自由に設定する休暇の1つです。前述の通り、忌引き休暇の制度を導入していない会社もあります。そのため日数や休暇を取る条件、給与の有無も会社によって異なります。
公休日とは、「法定休日」と「所定休日」を合わせたもので、一般的な会社なら土曜日・日曜日、店舗などの場合は定休日が公休日に当たります。「法定休日」は、労働基準法で義務付けられた休日です。労働基準法では、人を雇う際、毎週1日(または4週間に4日)休日を与えることが定められています。
また1日に8時間、1週間に40時間を越えて働かせてはならないと決められており、これをクリアするため、各会社ごとに「所定休日」が設定されています(参照:厚生労働省|労働時間・休日)。公休日は無給で、出勤した場合、割増賃金や代休などが発生します。
有給休暇は名前の通り有給の休日です。休暇を取っても給料が減額されることはありません。労働基準法によって、6か月以上勤務する従業員には必ず与えることが決められています(参照: 厚生労働省|年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています)。
忌引き休暇の対象は二親等または三親等まで
忌引き休暇を取得できるのは、二親等(祖父母・兄弟姉妹など)または三親等(おじ・おば・甥・姪など)までであることが一般的です。
忌引き休暇の取得対象が何親等までかは、会社や学校によって異なります。また本人の血縁者か配偶者の血縁者かによって異なる場合もあります。忌引き休暇の取得を申し出る前に確認しておきましょう。
忌引き休暇は何日休める?
忌引きで休みを取れる日数は会社や学校によって、また親族の範囲によっても異なります。これは、忌引きが義務化されている休暇制度ではないからです。
所属の会社や学校の忌引き休暇制度の詳細は、就業規則や生徒手帳などに記載されているので確認しましょう。参考までに国家公務員の場合は人事院規則では、以下のように決められています。
続柄 | 日数 |
---|---|
配偶者・父母 | 7日 |
子 | 5日 |
兄弟姉妹 | 3日 |
祖父母 | 3日 |
配偶者の父母 | 3日 |
孫 | 1日 |
忌引き休暇の日数は、血縁関係が近いほど多く設定されています。
配偶者(夫・妻)
配偶者が亡くなった際の忌引き休暇は、1週間~10日が目安です。精神的な負担が大きいことと、喪主を務めたり行政手続きを行ったりと、しなければならないことも多いため、最も多い日数が設けられています。
一親等(父母・子供)
一親等とは父母または子供です。一親等の親族の忌引き休暇日数は、本人と配偶者どちらの血縁者かによって異なります。一親等の親族の場合も、葬儀や諸手続きのための時間が必要となることが多く、比較的多くの日数を取得できるようになっています。
- 本人の父母:5~10日
- 配偶者の父母:3~7日
- 本人の子供:5~10日
二親等(祖父母、兄弟姉妹、孫)
二親等の親族とは、本人または配偶者の祖父母・兄弟姉妹、本人の孫です。亡くなったのが、本人・配偶者どちらの血縁者かによって取得日数は異なります。
- 本人の祖父母:3日
- 配偶者の祖父母:1日
- 本人の兄弟姉妹:3日
- 配偶者の兄弟姉妹:1日
- 本人の孫:1日
三親等(おじ・おば・甥・姪・曾祖父母)
三親等の親族は、伯父・伯母(叔父・叔母)・甥・姪・曾祖父母です。忌引き休暇の対象を二親等までとしている会社もあります。会社によっては、葬儀参列日の1日だけ休暇を取得できる場合もあります。
忌引き休暇の数え方
忌引き休暇を数える起点となるのは、亡くなった日・亡くなった翌日など、会社によって異なります。また、土日祝日などの公休日と重なった場合、振替休日・代休などが発生しないのが一般的です。
例えば、金曜日に祖母が亡くなり土曜日・日曜日が通夜・葬儀となった場合、忌引き休暇は3日間で、会社を休むのは金曜または月曜日の1日だけとなります。
ただし、忌引き休暇と公休日が重なった場合の考え方も会社によって異なるため、この限りではありません。忌引き休暇申請前に確認しましょう。
忌引き連絡時のメール例文
忌引き休暇を取るに当たってメールを利用する場合、メールが読み飛ばされないよう、件名に「忌引き」の言葉を入れましょう。また内容は簡潔に、必要最低限でかまいません。死因などを記載する必要もありません。
メールに記載する基本的な項目は以下の5つです。
- 休暇の期間
- 忌亡くなった人との続柄
- 亡くなった日
- 葬儀の詳細
- 休暇中の連絡先
職場への連絡、学校への連絡、それぞれの例文を紹介します。
職場への連絡
件名:忌引き申請(00/00~00/00)
□□部長
お疲れ様です。○○です。
00月00日に祖母が他界致しました。
突然の申請で恐縮ですが、葬儀のため忌引き休暇をいただきたく存じます。
葬儀・告別式は以下の日程で行う予定です。
-------------
■休暇期間
00月00日~00月00日
■葬儀会場
日程:通夜 00月00日
葬儀・告別式 00月00日
会場名:□□□□■□□□
住所:□□□□■□□□□■□□□□■
■休暇中連絡先
000-0000-0000
-------------
不在中、何かございましたら上記連絡先までご連絡いただけますでしょうか。
お手数おかけしますがよろしくお願い致します。
署名
学校への連絡
子供が欠席する際の連絡文は、子供と亡くなった方の続柄がわかるように書きます。
件名:○○○○(子供の名前)忌引きのため00/00~00/00欠席します
□□先生
いつも○○(子供の名前)がお世話になっております。
○○の母です。
00月00日に○○の祖母が亡くなりました。
00月00日~00月00日の間、欠席とさせていただきたいと思います。
急ぎのご用件などがございましたら
以下電話番号へご連絡お願い致します。
000-0000-0000(○○母携帯)
お手数おかけしますがよろしくお願い致します。
忌引き休暇を取る際のマナーと注意点
忌引き休暇は突然必要となるため、社会人は職場や同僚・スタッフへの配慮が必要です。頻繁に起こることではなく不慣れな作業も多くなるため、業務が滞りなく進行できるよう注意しましょう。
就業規則を確認する
先に述べた通り、忌引き休暇は任意の休暇制度であるため、期間・条件などの詳細は各会社によって異なります。忌引き休暇を申請する前に、以下の就業規則を確認しておきましょう。
- 忌引き休暇・慶弔休暇の有無
- 休める期間
- 提出書類の有無
- 提出書類の内容
- 給与の有無(有給か無給か)
速やかに連絡する
忌引き休暇を取得しなければならなくなったら、速やかに連絡しましょう。メールの見逃しなどがないよう、連絡は基本的には対面・電話など口頭で伝えるのがベストです。口頭で伝えた後、メールなど書面を送付しておくと行き違いがありません。
休日や夜間の連絡は、メールやチャットの方が適しています。この場合メッセージを送りっぱなしにせず、既読マークや相手からの返信などで、休暇連絡がきちんと伝わっていることを確認しておきましょう。
葬儀前は慣れない準備や手続きが多く慌ただしくなります。連絡必須の職場や学校関連など、主要連絡先をリストアップし、早めに連絡しておきましょう。
業務の引き継ぎを行う
多くの場合、訃報は突然であるため、業務の引き継ぎが必要となります。休暇中の業務に支障をきたさないよう手配しておくのがマナーです。
担当業務の進捗状況をまとめ、代理のスタッフなどに連絡します。代理スタッフにも休暇期間と緊急連絡先を伝えておくとよりスムーズでしょう。
必要書類を確認しておく
会社によっては忌引き休暇を取得する際、以下のような書類が必要となることもあります。
- 死亡診断書(医師が発行)
- 火葬許可証(役所が発行)
- 葬儀証明書(葬儀社が発行)
- 葬儀の案内ハガキ
- 会葬礼状
必要書類の有無、種類などを前もって確認しておきましょう。休暇申請時には用意できないものがほとんどであるため、休暇期間中に必要書類を揃え、休暇明けに提出します。
忌引き休暇取得後のマナー
忌引き休暇明けの出勤日には、簡単な挨拶を忘れないようにしましょう。必要に応じて返礼品なども用意します。
休暇明けの挨拶をする
忌引き休暇明けには、直属の上司をはじめ、忌引き連絡をした関係各所に挨拶をします。不在時のフォローなどに対するお礼を伝え、業務に支障がなかったか確認しておきましょう。
香典返礼品を持参する
香典などをいただいた場合、香典返しを持参します。香典返しは、当日返しと、四十九日の忌明けに贈る後返しの2パターンがあります。会社の場合は毎日顔を合わせることもあり、忌引き休暇明けの初出勤となる日に用意するとよいでしょう。
香典返しについて、基本の考え方や贈るタイミング、内容などの詳細は以下の記事で解説しています。
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弔電・供花へのお礼をする
会社や取引先から弔電・供花などをいただいた場合、お礼を伝えます。弔電・供花へのお礼はハガキなどの書面で送るのが正式なマナーですが、日常的にメールでやり取りしている場合はメールを利用するのが自然でしょう。
よくある質問
ここからは、忌引き休暇に関するよくある質問をまとめました。ご自身の状況に照らし合わせてご確認ください。
忌引き休暇を取ると有給休暇の日数が減りますか?
忌引き休暇が会社の制度としてあるなら、忌引き休暇を取っても有給休暇の日数は減りません。
忌引き休暇・慶弔休暇制度のない会社の場合、忌引きに有給休暇を使うことになります。この場合は有給休暇が減ることになります。
遠方の葬儀で忌引き休暇が足りない場合はどうすればいいですか?
遠方での葬儀のため忌引き休暇の日数だけでは足りない場合があります。この場合、基本的には有給休暇を合わせて取ることになります。会社・上司などに相談のうえ、忌引きと有給を合わせて取得する旨を相談しましょう。
忌引き期間中に働いてはいけませんか?
忌引き休暇は必ず取らないといけない休みではないため、働いても構いません。忌引き休暇中にやむを得ない事情で出勤した場合、代休・半日休・時間外手当などが付与される可能性もあります。ただし、会社の就業規則や考え方によって異なるので確認が必要です。
忌引き休暇は有給ですか?
忌引き休暇が有給かどうかは会社の就業規則次第です。日曜日のような無給の休日としているか、有給の休暇としているかによって異なります。勤務先の就業規則を確認しましょう。
葬儀の時期がずれても忌引き休暇をとれますか?
さまざまな事情から亡くなってから葬儀をするまでに時間がかかるケースもあるでしょう。忌引き休暇をずらして取れるかどうかは会社によって異なります。就業規則や担当者などによっても判断が分かれるため、個々のケースごとに会社に相談するとよいでしょう。
会社に忌引き休暇がない場合はどうすればいいですか?
勤務先の会社に忌引き休暇の制度がない場合、有給休暇を取得します。有給休暇を消化してしまって残っていない、就職したばかりで有給休暇がまだないといった場合は、欠勤扱いになる場合もあります。
忌引きに対する考え方は会社によって異なるため、いずれの場合も直属の上司等に相談するとよいでしょう。
忌引き休暇は会社の就業規則を確認して取得しましょう
忌引き休暇は、家族・親族が亡くなった際に取得する休暇です。従業員に対して必ずしも付与が義務付けられた休暇制度ではないため、忌引き休暇のない会社もあります。
休暇日数は1日〜10日、取得条件は二親等以内・三親等以内など、就業規則や個々のケースによって異なります。取得を申請する前に、就業規則を確認しましょう。
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