葬儀の準備を進めている方や終活をされている方は、葬儀にいくらお金がかかるか気になったことがあるのではないでしょうか。葬儀費用は一般葬・家族葬などの形式や参列者の人数によって大きく変動します。
そこで今回は、形式ごとの平均額・内訳やお寺に包むお布施の金額、お金がないときに費用を抑えるためのポイントなどを詳しく解説します。補助金や相続税の節税方法についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
葬儀費用の平均相場はいくら?
葬儀費用にかかる平均総額は地域によっても異なりますが、およそ119万円といわれています。(特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)を元に算出)
かつては、もっと多くの金額をかけて葬儀を執り行うのが主流でしたが、コロナ渦で規模の縮小が進み、平均相場が下がりました。アフターコロナとなった現在はコロナ禍の時期よりも平均総額が微増しているものの、コロナ禍以前よりも葬儀にお金をかける人が少なくなっています。
葬儀にかかる費用の内訳
葬儀費用は、葬儀一式費用・飲食接待費用・返礼品費・寺院費用の4つに分けられ、葬儀を執り行う斎場の規模・葬祭用品のグレード・葬儀の形式や参列人数などによって金額が変動します。
葬儀一式費用
葬儀一式費用とは、通夜や告別式の式場利用料・搬送費・祭壇・棺・遺影など、葬儀にかかる基本の料金を指します。葬儀一式費用の相場は30~140万円です。
飲食接待費用
飲食接待費用は、通夜ぶるまい・精進落とし・告別料理などにかかる飲食費用の総額です。
参列者の人数や会食の回数、振る舞う料理の豪華さなどによって大きく変動しますが、飲食接待費用の相場は30~70万円です。
返礼品費用
返礼品費用は、香典返しや返礼品にかかる費用を指します。
参列者の人数やによって変動しやすい費用ではあるものの、香典返しにかかる費用の目安は、一人当たりいただいた金額の1/3〜半額程度とされており、3,000〜5,000円程度の品物を贈るのが一般的です。香典を受け付けなかった場合、返礼品費用は大幅に抑えられます。
寺院費用
寺院費用は、お寺・神社・教会などの宗教者に支払う費用です。通夜・葬儀にかかる寺院費用の相場は10~50万円です。
お布施はお気持ちを示すものであり、明確な金額が決まっていません。地域によって相場が異なる場合もあるので、いくら包めばよいかわからない場合は、直接僧侶や葬儀社に相談してみましょう。
また、以下の記事ではお布施の費用相場や包み方についてより詳しく解説しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
あわせて読みたい!
お布施
お布施の費用はどれくらい?費用の相場や法要に必要なその他の費用も解説
宗教 | 名称 | 支払い先 |
---|---|---|
仏教 | お布施 | 寺・僧侶 |
神道 | 祭祀料 | 神社・神主 |
キリスト教 | 献金 | 教会・司祭・牧師 |
追加でかかる可能性がある費用
基本のプランに含まれていないサービスは、基本的にオプション料金が発生します。追加料金が発生しやすいケースとして挙げられるのが、参列者が当初の想定よりも増えたことによる飲食接待費・返礼品費の増額です。また、亡くなった場所から安置場所までの距離が遠い場合は、移動費を追加で請求される可能性もあります。
「葬儀後の請求書で初めて増額に気付いた」ということがないように、事前に葬儀社とよくコミュニケーションを取っておきましょう。
- 基本のサービスに追加するもの
- 湯灌・エンバーミング
- 棺・祭壇・お花のランクアップ
- 見積書からの費用変動が起こりやすいもの
- 飲食接待費
- 返礼品費
- 状況によって追加費用がかかるもの
- 遺体の状態や安置期間の延長によるドライアイスの増量
- 寝台車や霊柩車の移動費
葬儀の形式や規模によって予算は異なる
葬儀費用は、葬儀の形式や規模・参列者の人数によっても大きく異なります。一般葬・家族葬・一日葬・直葬のうち、もっとも高額なのは一般葬、もっとも安く収まるのは直葬の形式が一般的です。
一般葬
一般葬は、故人の家族・親族や友人から親交のあった知人や仕事の関係者まで、故人の関係者が幅広く参列する形式です。一般葬の費用相場は100~200万円程度とされており、さまざまな形式が選択できる葬儀のなかでも最も費用がかかります。
かつては一般葬が主流でしたが、時代の変化やコロナ禍の世相によって現在は減少傾向にあります。
家族葬
家族葬は、家族・親族や近親者のみが参列して葬儀を執り行う形式で、家族葬の葬儀費用の相場は100万円前後とされています。
家族葬は一般葬に比べて参列者が少ないため、さまざまな費用を低く抑えられます。一般葬よりも小規模で行えることからコロナ禍以降に人気を集めており、現在は約半数が家族葬を選択しているといわれています。
また、以下の記事では家族葬の費用についてより詳しく解説しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
あわせて読みたい!
葬儀の費用相場
家族葬の費用相場は?料金内訳や知っておくべきことガイド
一日葬
一日葬は、通夜を行わずに告別式と火葬のみを1日で執り行う形式です。
一日葬の葬儀費用の相場は30~50万円程度とされており、一般葬や家族葬よりも安価で手配できます。一日葬は葬儀を簡略化させるため、会場費用・飲食代・寺院費用のすべてを低く抑えられるのが特徴です。
また、以下の記事では一日葬の費用についてより詳しく解説しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
あわせて読みたい!
葬儀の費用相場
一日葬の費用相場は?内訳や知って得する価格の抑え方を解説
直葬・火葬式
直葬・火葬式は、通常執り行われる通夜と告別式を行わず、火葬と簡単な式のみを行う形式です。直葬は斎場を使わず火葬場のみで完結するため、斎場の使用量や参列者に振る舞う会食費用がかかりません。
直葬・火葬式の葬儀費用の相場は20~50万円程度とされており、数ある形式のなかで最も費用を抑えられます。
また、以下の記事では直葬の費用についてより詳しく解説しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
あわせて読みたい!
葬儀の費用相場
直葬(火葬式)の費用相場は?内訳や賢く費用を抑える方法を解説
葬儀費用を抑えるためにできること
少しでも葬儀費用を低く抑えたい方は、葬儀の形式やグレードを見直したり、見積もりをたくさん取って比較したりするなどの工夫をしましょう。
形式や規模の見直し
根本的なコストカットができる方法が、形式や規模の見直しです。葬儀は参列者が少なければ少ないほど、会場費・飲食接待費・香典返しのすべてを抑えられます。費用を安く抑えたい場合は、一般葬よりも費用のかからない家族葬・一日葬・直葬などを検討したり、参列者を限定したりするのがおすすめです。
とはいえ、葬儀を小規模にしすぎると、のちのち後悔が残る可能性もあります。故人の生前の意向を尊重しながら、お別れする人に合った形式を選びましょう。
飲食物・葬祭用品・返礼品の見直し
同じ形式や規模でも、振る舞う料理や葬祭用品・返礼品のグレードを下げることで費用を抑えることが可能です。
たとえば、通夜振る舞いのメニューや品数を調整したり、棺・祭壇・お花をランクダウンしてシンプルにしたりする方法があります。また、通夜振る舞いの代わりにお弁当を手配してコストカットをするのもひとつの方法です。
複数の見積もりを取って比較する
同じ形式や規模を設定しても、葬儀社によってかかる費用は異なります。時間に余裕がある方は、複数の葬儀社から見積もりを取って金額やサービスを比較しましょう。複数の見積もりを比較することで、葬儀費用の相場を知れるうえ、より低価格で提供している葬儀社を選択できます。
また、低価格であっても、実際に葬儀を行った際に見積書に記載のない追加費用が発生するケースがあります。葬儀後のトラブルを避けるためにも、見積書の段階で葬儀社に確認しておくことが大切です。
香典を支払いに充てる
葬儀の際に参列者から受け取る香典を葬儀費用の支払いに充てる方法もあります。香典の金額は参列者の人数や地域による相場の違いによっても上下しますが、おおよそ葬儀費用の1/3〜半額程度を回収できます。
とはいえ、香典は確実に受け取れると保証されているお金ではありません。あまり香典の金額だけを当てにしすぎないようにしてください。
また、以下の記事では香典の金額相場や香典袋の書き方などを詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
あわせて読みたい!
葬儀のマナー
香典の正しい包み方とは?相場の金額・送り方のマナー・香典袋の書き方を詳しく解説
公営の斎場や火葬場を利用する
葬儀を執り行う斎場や故人の遺体を火葬する火葬場には公営のものと民営のものがあり、公営を利用すると民営よりも費用を安く抑えられます。
公営の斎場は火葬場を併設しているケースも多く、ご遺体や参列者の移動費の節約にも繋がるでしょう。
その他、費用を抑える方法を以下の記事にて解説していますので、チェックしてみてください。
あわせて読みたい!
葬儀の費用相場
家族葬の費用を安くする方法10選|注意点についても解説
格安葬儀でのトラブルに注意
葬儀費用の節約を意識しすぎると、簡略化やグレードダウンによって期待通りの葬儀ができない場合があります。プランによってはオプションが追加できないなどの制約が多い可能性があるほか、参列者を減らしたことで後日の弔問客が増えてしまい、結局対応の手間がかかるケースも考えられます。
このようなトラブルが起こらないようにするためにも、事前に見積もりをしっかりと読み込んだり、葬儀社と綿密にコミュニケーションを取り合ったりすることが大切です。葬儀社選びで不安になった場合は、同じプランで葬儀を行った人の口コミを調べてみてもよいかもしれません。
葬儀費用は誰が支払う?
葬儀費用は、喪主または故人が生前に用意していたお金で払うのが一般的です。故人のお金を扱う場合、亡くなった直後は制限が多いため注意しましょう。
喪主が支払う
葬儀費用を支払う人の明確な決まりはありませんが、現在は喪主が支払うのが主流です。
喪主は葬儀の手配から進行までの責任者となる役割で、おもに故人の配偶者や子供などが務めます。とはいえ、状況によっては喪主以外の親族が支払うこともあります。
故人の遺産から支払う
近年は就活のブームによって、故人が生前のうちに葬儀費用を用意しているケースも増えました。遺言やエンディングノートに葬儀の希望を残している場合や、故人の名義で特定の葬儀社と生前契約を結んでいる場合もあるので、故人の希望を優先しましょう。
日本では、故人が亡くなると、遺産分割・相続が完了するまで一時的に預貯金口座が凍結されます。故人の口座にあるお金を葬儀費用の支払いに充てたい場合は、「相続預貯金の仮払い制度」を利用して引き出しましょう。
また葬儀費用は誰が払うかについて、以下記事にてより詳細に解説していますので、併せてチェックしてみてください。
あわせて読みたい!
葬儀の準備
家族葬の費用は誰が払う?よくあるトラブルと対策を徹底解説
補助制度やサービスを利用する方法もある
葬儀内容の見直しだけでなく、自治体の補助制度や葬儀社の会員サービスなどを利用して葬儀費用を抑えることも可能です。「終活」として生前に準備を進めておく方法もあるので、ぜひ検討してみてください。
自治体の補助制度を利用する
故人が健康保険や社会保険に加入していたら、自治体や組合から葬儀にかかる費用の補助を受けることができます。
申請には没後2年間という期限があるので、葬儀が終わって落ち着いたら早めに申請しましょう。また、通夜・葬儀を執り行わず直葬・火葬式のみで済ませた場合、自治体によっては補助金が支給されないことがあります。
加入している保険 | 受けられる補助 | 金額 |
---|---|---|
加入している保険 | 受けられる補助 | 金額 |
健康保険・共済組合 | 自治体から埋葬料・埋葬費を受給可能 | 一律5万円 |
国民健康保険 | 自治体から葬祭費を受給可能 | 1〜7万円で自治体により異なる※23区内は一律7万円 |
社会保険 | 社会保険事務所や健康保険組合から埋葬料を受給可能 | 一律5万円 |
生前に保険に加入しておく
生前に葬儀費用を用意する場合、あらかじめ葬儀保険に加入しておくのもひとつの方法です。葬儀保険は生命保険の一種で、死亡後にかかる葬儀費用や仏壇・墓地の購入費用の補償に充てられます。生命保険よりも少額からかけられるので、生前に葬儀費用だけでも用意したいという方は加入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、指定した受取人がいざというときの医療費・介護費・葬儀費用を引き出せる「資産承継信託」という信託商品を利用する方法もあります。
葬儀社の互助会制度や会員制度を利用する
生前のうちに葬儀を手配する葬儀社を決めて会員登録を済ませておくと、葬儀を執り行う際にお得なサービスや特典を受けられる場合があります。
互助会制度は「冠婚葬祭互助会」の略で、毎月一定の金額を冠婚葬祭費用として積み立てるサービスです。すべての葬儀社で展開しているものではなく、経済産業省の認可が下りた特定の葬儀社だけが運営できます。
会員制度は経済産業省の認可がなくても展開できるサービスで、事前に入会金を支払っておくと、いざというときにさまざまな会員特典を受けられます。月々の積立金は発生しないので、手軽に葬儀費用の準備を進めたい方におすすめです。
葬儀費用をすぐに用意できないときは
なんらかの事情によって葬儀費用をすぐに用意できない場合は、一括払い以外の方法を使用したり、葬祭扶助制度を利用したりする方法もあります。
分割払いができる葬儀社を選ぶ
葬儀費用の支払い方法は葬儀社によっても異なりますが、葬儀後10日前後に一括で支払うのが一般的です。なかには即日支払いが求められる場合や、支払い期限が長めに設定されている場合もあります。
しかし近年は、現金払いやクレジットカード一括払いの葬儀社だけでなく、分割払いやローン払いに対応している葬儀社も増えてきています。見積書の金額よりも総額が跳ね上がる可能性もあるので、事前に支払い方法の種類や支払い期限をしっかりと確認しておくことが大切です。
葬祭扶助制度を利用する
生活保護を受けている場合、「葬祭扶助制度」という制度を利用できます。この制度は、故人や喪主が生活保護を受給していて葬儀費用を捻出できない場合に申請できるものです。
ただし、補償は最低限にとどまるため、豪華な葬儀は執り行えず直葬・火葬式のみの簡素な形式に限ります。
適用の可否は自治体や故人・遺族の経済状況にもよりますが、最大で20万円を受給可能です。申請が適用された場合、自治体の福祉事務所から葬儀社へ直接費用が支払われます。
また以下の記事では、葬儀費用がない場合の対処法について解説していますのでチェックしてみてください。
あわせて読みたい!
葬儀の準備
直葬でお金がない場合の対策【7選】|手順も詳しく解説
相続税の節税ができる
相続税は、故人からお金や土地などの財産を相続する際に発生する税金です。故人の財産から葬儀費用の支払いを行った場合、課税対象となる金額から葬儀費用にかかった金額を控除できます。
節税の申請を行う場合は、必ず一連の領収書を保管しておきましょう。なお、香典返しは「喪主に支払われるお金」という捉え方のため、相続税の対象になりません。
<控除の対象になるもの>
- 遺体の捜索費用
- 遺体や遺骨の搬送費用
- 葬儀一式費用
- 寺院費用
- 会葬御礼の費用(別途香典返しをしている場合のみ適用)
<控除の対象にならないもの>
- 香典返しの費用
- 初七日以降の法要の費用
- 位牌・仏壇・墓地・墓石の購入費用
- 医学上・裁判上特別の措置(解剖など)に要した費用
葬儀費用の相場を知って、いざというときに備えましょう
葬儀費用は形式や参列者数、振る舞う料理や葬祭用品の豪華さなどによって決定します。 費用をできるだけ抑えたい方は、規模の見直しや葬儀社の見極めなどの工夫を行いましょう。
弊社では、価格を抑えたプランパックでの葬儀をご用意しています。参列人数に応じた広さの式場で、現代にあわせたシンプルな葬儀を行えます。依頼・相談は24時間365日受け付けているので、興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。