葬儀を行ううえで、悩まれる方が多いのが費用です。葬儀費用にはまとまったお金が必要なため、高額になると支払いができるか不安という方も多いでしょう。しかし、役所で申請すれば給付金を受け取れる場合もあります。
本記事では、自治体に申請することで受け取れる葬儀の給付金の種類や申請方法をご紹介します。葬儀費用を抑える方法、故人の口座や生命保険からの支払いができるか、ローンが組めるかなどもあわせて解説します。葬儀費用の支払いに不安を感じている方は、ぜひ本記事を参考にして自己負担を抑えてください。
役所で申請して受け取れる給付金の種類
故人が健康保険に加入していると給付金を受け取ることができます。社会保険に加入していた場合は「埋葬料」、国民健康保険に加入していた場合は「葬祭費」と呼ばれ、支給対象となる範囲も異なります。
まずは、故人が加入していた保険から対象となる給付金を確認しましょう。
埋葬料
故人が社会保険(健康保険)や地方職員共済組合の被保険者や被扶養者に当たる場合、埋葬料もしくは埋葬費を受け取ることができます。
故人や故人の家族が会社員やパートなどの場合は、勤め先の社会保険に加入していることが多いでしょう。地方公務員の場合は、地方職員共済組合に加入していることがほとんどで、埋葬料または家族埋葬料が支給対象です。
故人と同居していた家族が受け取る場合は埋葬料、同居していない家族や友人が受け取る場合は埋葬費と呼ばれます。埋葬料や埋葬費は、埋葬にかかる費用を支援する給付金制度です。火葬費や霊柩車の費用、お布施代などを当てることができますが、通夜や告別式の費用に当てることはできません。埋葬料は一律5万円、埋葬費は上限は5万円が支給されます。
葬祭費
葬祭費は、故人が国民健康保険か国家公務員共済組合に加入していた場合に受け取れることができます。故人やその家族が自営業・国家公務員の場合に対象となることが多いでしょう。
葬祭費は、故人が75歳未満の場合に支給対象となりますが、75歳以上の方でも後期高齢者医療制度に加入していると受け取ることができます。
自治体によって支給される金額は異なり、1〜7万円ほど支給されます。葬祭費という名前の通り、葬儀を行わず、火葬式のみを行った場合は支給対象にならない自治体もあります。
葬祭扶助制度
葬祭扶助制度は、遺族が生活保護を受けているなど経済的に困窮している場合に利用できる制度です。葬儀費用に当てられる資産や収入がない場合でも、最低限の葬儀を行うために支給されます。
告別式などの一般的な葬儀は行わず、直葬と呼ばれる火葬のみのお別れを行うことを前提としています。棺代や火葬料、霊柩車などの費用に当てることができますが、葬儀の費用には当てることができません。「生活保護葬」や「福祉葬」とも呼び、支給額の上限は地域や世帯の経済状況などによって異なります。
葬祭扶助制度については、以下の記事で詳しく解説しているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。
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給付金の申請方法
対象となる給付金がわかったところで、「誰がどこに申請したら良いのか」「申請した埋葬料はいつ受け取れるのか」といった点が気になるでしょう。ここでは給付金の申請に必要な書類や手続き、受け取り方法などを解説します。
申請・給付申請期間
埋葬料は全国健康保険組合や各組合に、葬祭費は区・市役所など自治体の窓口に申請を行います。
埋葬料は亡くなった日の翌日から2年以内、葬祭費は葬儀の翌日以降2年以内に申請を行う必要があります。それ以降は申請できなくなるため注意しましょう。
申請後、埋葬料や葬祭費が支給されるまでに1〜2ヶ月ほどかかり、申請する際に届出を行った銀行口座に振り込まれます。
申請方法
申請に必要なものは以下の通りです。
- 故人の健康保険証
- 喪主名義の振込用口座
- 印鑑
- 本人確認書類
- 喪主であることが確認できるもの(会葬令状、葬儀証明書など)
- 委任状 ※代理人が申請する場合
埋葬料も葬祭費も喪主など葬儀を主催した者・埋葬を行った者が申請を行い、受け取ります。代理人が申請を行う際は、委任状が必要になります。自治体によって必要な書類が異なるため、確認しましょう。
自身が喪主であることを確認できる書類が必要になるため、会葬令状や葬儀証明書を用意します。葬儀証明書は公的な書類ではなく、葬儀社で発行してもらえますが、作成に時間がかかることもあるため、早めに申し出ることをおすすめします。
葬儀費用を抑える方法
給付金制度があるとはいえ、上限額が決まっています。できれば、葬儀にかかる費用を抑えたいという方が多いでしょう。ここでは、葬儀費用を抑える方法についてまとめました。
葬儀の形式を検討する
一般的な葬儀は通夜と告別式を2日かけて執り行います。親族以外に友人や知人に参列していただくケースが多く、規模も大きいとそれだけ会場費も高くなるでしょう。葬儀の形式や内容によっては費用を抑えることができ、簡略化された葬儀や参列者を限定した葬儀も増えています。
一日葬や直葬(火葬式)の場合は、宗教的な儀式を部分的に省略することで葬儀にかかる費用を抑えることができます。
家族葬は、参列者が親族だけに限定するため規模は小さくなり、会場費用が抑えられるでしょう。ただし、2日間かけて一般葬と同じように一連の儀式を行います。参列者が減ると香典収入も減るため、思ったより費用が安くならないこともあり注意が必要です。
一日葬や家族葬には費用以外にも体力的な負担を抑えられるなどメリットがあります。それぞれの葬儀の特徴や費用の内訳、注意点についても解説していますので、こちらの記事も参考にしてください。
オプションの追加はしない
葬儀ではオプションが用意されており、式を盛大にすることができますが、オプションをつけないと葬儀を行えないということはありません。故人や遺族の意向を確認し、本当に必要なオプション以外は利用しないようにしましょう。
祭壇や棺などの葬儀用品、会食や返礼品などは、グレードによって料金が異なります。見直すことで葬儀費用を抑えられるでしょう。
ただし、安置日数が長くなってドライアイスを追加したり霊柩車の移動距離が長かったりする場合、最終的にどうしても追加料金がかかってしまうケースもあります。基本プランに何が含まれているかは、葬儀社や選んだプランによって異なるため、事前にしっかりと確認をしましょう。
区民葬・市民葬
「区民葬」や「市民葬」は、自治体が住民サービスの一環で行っている葬儀の形式で、一般の葬儀よりも費用が抑えられます。自治体と提携した葬儀社が葬儀を執り行い、公営の葬儀場や公民館など公共の施設で葬儀が行われます。葬儀の流れは一般葬と変わりません。
「区民葬」や「市民葬」は、すべての自治体が行っているわけではないため、希望する場合は各自治体の窓口に確認しましょう。また、「区民葬」や「市民葬」を執り行うには、故人が住んでいた自治体もしくは、喪主が住んでいる自治体である必要があります。
葬儀費用の支払い関してよくある質問
給付金は申請してから受け取るまで期間があり、先にまとまったお金を準備しておく必要があります。ここでは、ローンでの支払いができるか、故人の生命保険や口座から支払いすることができるかなど、気になることを解説していきます。
生命保険から支払うことはできる?
故人が生命保険に加入していた場合、保険金は遺産ではなく受取人の財産です。基本的に生命保険は、遺族が受取人に指定されているため、保険金を葬儀費用に充てることができるでしょう。
葬儀費用の支払いよりも、生命保険金を受け取るタイミングが遅いこともあるため注意しましょう。保険会社によっては、葬儀費用の支払いに間に合うように請求から数日で支払われることもあります。すぐに受け取りたい場合は保険会社に支給日ついて尋ねてみても良いでしょう。
クレジットカードやローンでの支払いはできる?
葬儀社によっては、「葬儀ローン」で葬儀費用を分割払いすることやクレジットカードで支払いをすることができます。ただし、僧侶へのお布施や車代は一般的に手渡しになるため、現金を準備しておきましょう。
葬儀社が提携している葬儀ローンは上限額が大きいことも多く、利用しやすいでしょう。金利が高いことも多いため、総額では高くなるので注意です。無理のない支払い計画を立てて利用しましょう。
クレジットカードは、対応しているブランドや支払い方法が葬儀社によって異なるため、利用したい場合は問い合わせをしておくと良いでしょう。また、限度額を確認してから利用してください。分割払いやリボ払いを使用することで、手数料や利息がかかります。
故人の口座のお金を葬儀費用に当てることはできる?
故人の口座の預金は相続の対象になり、喪主であっても勝手に引き出して葬儀費用に当てることができません。
名義人が亡くなったと銀行に伝えると口座は凍結されます。また凍結前でも、故人の口座から無断で引き下ろしてしまうのは良くありません。故人の財産は、相続人の共有財産であるため、引き出すと自分以外の相続人から不当に故人の財産を使ったと損害賠償請求を受けることもあるため注意しましょう。
預貯金仮払い制度を利用することで、他の相続人の同意が得られていない場合でも一定額を引き出すことができます。「相続開始時の預金額の1/3×相続人の法定相続分」を引き出すことができ、上限は150万円です。必要な書類は各金融機関によって異なります。
葬儀費用を抑えるなら葬儀社に相談を
大切な方との最後のお別れの際で悲しみに暮れているときに、葬儀の準備と合わせて給付金の申請などを行うのは大変でしょう。しかし、給付金などの制度を利用せず盛大な葬儀を行うと経済的な負担が大きくなります。金銭面でもトラブルなく葬儀を行うために、よく理解してご自身にあった制度を利用してください。
「葬儀費用がいくらかかるのかわかりにくい」「一日葬など略式の葬儀にして費用を抑えたい」場合は葬儀社に相談しましょう。
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