ご遺体安置とは、ご遺体を搬送したあとに行う工程のことです。「ご遺体を安置する」「遺体安置施設」など、葬儀について調べているとよく目に入る言葉ではあるものの、ご遺族として何をどうすべきなのかわからず、不安に思われている方もいるのではないでしょうか。
この記事ではご遺体を安置するにあたっての流れや安置する場所、儀式などについてもご紹介します。ご逝去からご遺体安置までは時間がないことも多々あります。慌てずに済むようご遺体安置の概要をしっかりと理解しておきましょう。
ご遺体安置とは
ご遺体安置とは、ご逝去されたあとから葬儀までの間、ご遺体を保管しておくことを指します。
日本の法律では、死亡確認から24時間以内は火葬できません。また、斎場・火葬場の稼働状況、年末年始や宗教的な日取りなどによっても、すぐに葬儀ができないことがあります。そこで、数日の間ご遺体を保管することになるのが、ご遺体安置といわれるものです。
ご逝去場所に応じたご遺体安置の流れ
自宅・施設・病院など、ご逝去される場所によって搬送の有無やご遺体安置する方法などは異なるため、全体的な流れも理解することが重要です。ご逝去から葬儀までの流れは以下のとおりです。
- 死亡診断書の受け取り
- 一時安置
- 葬儀社へ連絡
- ご遺体搬送
- ご遺体安置
- 通夜
- 葬儀・告別式
病院で亡くなった場合、通常は病室から霊安室へ一時安置されたのち、ご遺体搬送・安置となります。次に亡くなられる方のために、病院の霊安室には長期間ご遺体を預けられません。すぐにご遺体を安置場所へ移す必要があります。
ご自宅で亡くなった場合は、一時安置・ご遺体搬送はなく、そのまま自宅でのご遺体安置になることがほとんどです。ただし、搬送の必要はなくてもドライアイスをはじめ、ご遺体安置のための準備は必要です。葬儀社へご逝去の連絡を入れ、安置の準備を整えます。
なお、ご逝去後の葬儀社手配や葬儀準備など、葬儀全体の流れを確認したい人は、以下の記事もチェックしてみてください。
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ご遺体安置までにご遺族がやること
病院で亡くなられた場合、ご遺体安置までにご遺族がやらなければならないことは、以下の3点です。
- 葬儀社へ連絡する
- 安置の場所を決める
- 搬送の依頼をする
死亡診断書を受け取ったあと、葬儀社に連絡・相談のうえ安置場所を決定し、ご遺体を搬送します。ご逝去後は、葬儀の打ち合わせや親族への連絡など、何かと慌ただしくなります。安置場所は、前もって葬儀社に相談しておくとスムーズです。
ご遺体安置はどこにする?
ご遺体を安置する場所は、基本的に以下の3つの選択肢があります。
- 自宅
- 斎場・葬儀社の安置室
- 民間の安置施設
ここでは、それぞれの内容や注意点を解説します。
自宅
ご遺体を安置するスペースを確保できるのであれば、自宅で安置することも可能です。
仏間があれば、仏壇のそばに布団を用意し、ご遺体を安置します。ベッドしかない場合は、ベッドで安置しても問題ありません。
自宅で安置する場合、ご遺体の状態を損ねないよう部屋や布団を清潔に整え、室温は18度以下に保つようにしましょう。自宅でのご遺体安置は、ご遺族に移動の負担が少なく、故人のそばにずっと付いていられる点がメリットです。
斎場・葬儀社の安置室
自宅に安置場所を用意できない、搬入経路が確保できない場合などは、斎場や葬儀社の安置室を使うことになります。斎場のなかには、親族用の宿泊施設を併設しているところもあります。
斎場・葬儀社の安置室を利用するメリットはご遺体の管理をプロに任せられるので、ゆっくり故人との時間を過ごせることです。ほとんどの場合、ご葬儀のために再度搬送する必要もありません。
民間の安置施設
ご遺体ホテルや寺院の安置室など、民間の安置場所も近年増えてきています。
費用はかかりますが、自宅に安置できず葬儀場の安置室にも空きがない場合などに心強い存在です。
ただし、利用料は施設によって異なり、人気の施設は予約がとれないこともあります。利用しやすい場所に安置場所があるか事前に確認しておき、料金や面会時間などもチェックしておきましょう。
安置場所の決め方
ご遺体の安置場所を決めるには、以下の3点を確認する必要があります。
- 故人・ご遺族の希望
- 予算
- 希望する安置施設の空き状況
故人との時間をつくりたい場合などは、自宅での安置がおすすめです。一方で、自宅安置が難しい場合やプロにすべて任せたい場合は、斎場・葬儀社での安置を選ぶとよいでしょう。
そのほか、斎場の安置室に空きがない場合や葬儀がすぐにできない場合など、柔軟に対応できることを重視するなら民間の安置施設の利用が適しています。
葬儀までのご遺体安置期間
葬儀までのご遺体安置期間は通常2〜3日です。
ご遺体の状態を保ったまま保管できるのは、適切に保冷した場合で1週間程度です。気候や気温、逝去直後の処置によってご遺体の保存状態は変わります。
遠方や国外で亡くなるケースなど、ご葬儀・火葬までに時間がかかる場合は、エンバーミングといわれる防腐処置を行います。
ご遺体安置にかかる費用
ご遺体安置にかかる費用の目安は約10万〜15万円です。※2日間の安置
また、費用の内訳は以下のとおりです。
ご遺体安置の費用内訳 | 費用相場 |
---|---|
ご遺体搬送費用 | 1万2,000円~2万円 |
安置施設利用料 | 3万円~5万円 |
付き添い費用 | 5万~5万5,000円 |
ドライアイス | 1万円~2万円 |
※付き添い費用とは、安置施設を利用する場合に親族が一緒に宿泊するための費用のことを指します。
ご遺体安置が1週間の場合、費用は単純計算で約50~70万円になるでしょう。
ところが弊社でご遺体安置を1週間される場合、3万3,000円〜からご利用いただけますので、費用のご心配はなさらずに故人様とのお時間をお過ごしください。
無駄を省き、価格を抑えたプランパックでの葬儀をご用意しており、おすすめプランの「これからの家族葬」だと、あらかじめ4日分のご遺体安置料金を含んでいます。そのため、3万3,000円の追加のみの低価格でご利用いただけます。
※ご遺体安置料による追加料金・・・11,000円 / 日
※各プランで含まれる安置日数が異なります。
※自宅安置ご希望の場合は別途追加料金がかかります。
葬儀までに行われるケア・儀式
ご逝去からご遺体安置・納棺までの間には、宗教上の儀式やエンゼルケアと呼ばれる処置などを行います。故人の安らかな眠りを願い、体を清め、生前の姿に近づける処置でもあります。
末期の水(まつごのみず)
末期の水とは「死に水」とも言われる、古くから日本で行なわれる葬祭儀式の一つです。
亡くなった直後、親族が順番に故人の口元を水で濡らします。具体的な手順は以下のとおりです。
- 割り箸などの先に脱脂綿を巻き、白い糸で縛って留める
- 脱脂綿に水を含ませる
- 故人の唇を優しくなでるように湿らせる
血縁関係の近い順に行うのが一般的で、配偶者・子・親・故人の兄弟姉妹・子の配偶者・孫…の順で行います。
仏教では「あの世で喉が渇かないように」、神道では「死の穢れを祓う」などの意味合いで行われる儀式です。神道では脱脂綿ではなく榊の葉を使ったり、仏教でも宗派によっては脱脂綿を使わなかったりする場合があります。宗教宗派によって作法が異なるため注意が必要です。
清拭(せいしき)・湯灌(ゆかん)
亡くなると故人の体を清潔にするために「清拭」や「湯灌」を行います。それぞれ具体的に解説します。
清拭
ご逝去されたあと、ご遺体を清潔にするため体を拭くのが清拭です。病院で亡くなった場合などは、看護師がアルコールを含ませたガーゼなどで全身を拭いてくれます。
なお、清拭とは動けない人の体を拭いて清潔にすることを指し、ご遺体だけに限らず、ケガ人・病人にも広く使われる言葉です。
湯灌
湯灌とは、浴槽やシャワーなどで故人をきれいにすることを指し、故人を清める点では清拭と同様です。清拭と異なるのは儀式的な意味合いがある点です。
湯灌は「来世への身支度」「俗世の垢を洗い流す」などの願いを込めて行われます。近年では「故人がお風呂好きだったから」「きれいな姿で見送りたいから」などの理由から湯灌を希望されるご遺族もいます。
着替え
ご遺体を清めたあとは、着替えを行うのが一般的な流れです。
古くから、納棺の際は死装束といわれる白い浴衣をご遺体に着せていましたが、近年では、故人のお気に入りの服から選ぶこともあります。お別れの際に着せたい服がある場合、前もって準備しておくとよいでしょう。
死化粧
着替えのあと、最後に施すのが死化粧です。髪を整え爪を切り、男性は髭を剃ったり女性は薄く化粧をしたりと、自然で安らかなお顔に見えるようにします。
死化粧によって生前の面影に近付けることで、故人の尊厳を守り、ご遺族の心を癒すことにも繋がるでしょう。
エンバーミング
エンバーミングとは、遺体を長期保存するために行われる処置のことです。
ご遺体に殺菌消毒を行い、体内に残ったものを取り除き、血液と防腐剤を入れ替えます。エンバーミング処置によって、ご遺体を10日から2週間程度は衛生的に保つことができます。また、注入する薬剤には赤みがあるため、故人の皮膚に血色を与え、生前の自然な状態に近づける効果があります。
なお、エンバーミングはエンバーミングセンターもしくは、提携している葬儀社の資格を持ったエンバーマーしか行えません。希望する場合、葬儀社に問い合わせてみましょう。
安置の方法|宗教ごとのご遺体安置の違い
ご遺体安置の方法は、宗教によって異なります。仏教式・神道式・キリスト教式、それぞれ場合のご遺体安置の作法をご紹介します。
仏教
自宅に安置する場合、仏間があればそちらに安置します。自宅で安置する場合の具体的な方法は以下のとおりです。
- 薄い敷布団に新しいシーツをかける
- 枕は不要
- ご遺体は北枕か西枕にする
- 薄い掛布団を上下反対にしてかける
- 顔に白い布を乗せる
- 胸元で数珠を持たせて合掌させる
北枕は、釈迦入滅時の姿勢に由来しています。布団やシーツは生前のものでも構いませんが、洗いたての清潔なものを使用しましょう。
枕飾りは、枕元に白木の小さな台を用意し、台上に香炉・ろうそく・鈴・花・水・一膳飯・団子などを供えます。魔除けとして刃物を布団の上に置くこともあります。線香・ろうそくの火は絶やさないようにしましょう。
神道
神道式のご遺体安置は、仏教式と概ね変わりません。神道式で異なる部分は、以下のとおりです。
- ご遺体は西枕か東枕にする
- 胸元で合掌するが、数珠は使わない
- 枕飾りに白木の小台を用意する
- 枕飾りとして榊・ろうそく2本、御神酒、水、塩、洗米を供える
なお、自宅に神棚がある場合は、神棚封じを行いましょう。
キリスト教
キリスト教式では、ご遺体安置に決まりやルールはありません。キリスト教式で行われる一般的なご遺体安置の方法は以下のとおりです。
- 遺体は北枕で安置
- 棺の脇に白い布をかけた机を置く
- 机の上には聖書や十字架、燭台、花を置く
なお、キリスト教式のご葬儀では、必ず生花を使用します。花の種類はユリやカーネーションなどで、色は白が一般的です。仏教や神道で使われる菊は使わない場合が多いでしょう。
安置の準備が整ったら納棺式を行い、牧師や神父が祈りを捧げます。讃美歌の合掌や聖書朗読が行われる場合もあります。
ご遺体安置中の弔問(面会)
お通夜やご葬儀に参列できない場合は、ご遺体安置中に弔問を行う場合もあるでしょう。通常、ご遺体安置期間中の弔問・面会は、ごく身近な親族・友人などに限られます。
自宅以外に安置されている場合は、面会出来なかったり時間が限られていたりすることもあります。まずは面会可能かを確認しなければなりません。
なお、ご遺体安置中に弔問する際、喪服を着用する必要はありません。ダークカラーのスーツや、黒やグレーなどの暗いトーンの服装を選びます。アクセサリー類はつけず、華美な印象を与えない落ち着いた服装で訪問しましょう。
スムーズなご遺体安置で負担の少ないご葬儀を
ご遺体安置について、ご逝去から安置・葬儀までの流れや安置場所、それに伴う儀式などをご紹介しました。
ご逝去から安置までは、時間がないことも多いため、安置場所は早めに決めておくことをおすすめします。どのように決めればよいかわからない場合は、まずは葬儀社へ見積もりをとるところから始めましょう。
弊社では、24時間365日葬儀に関する依頼や相談を受け付けています。価格を抑えるのに適したプランパックの葬儀もご用意しているので、興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。