「危篤」は生命に危険が迫った状態を示す言葉で、医師によって診断が下されます。危篤状態では血圧低下・呼吸機能低下・意識障害などの症状が現れ、数時間から数日間の間に息を引き取るとされています。
本記事では、危篤と診断されてから何日もつかを知りたい方向けに、危篤状態になってから息を引き取るまでの期間の目安や家族が危篤になったときにするべきこと、病院を訪問した際のマナーなどについて詳しく解説します。危篤のうちにできることを準備しておき、悔いのないお別れの時間を過ごしましょう。
危篤とは
「危篤」とは命に大きな危険が迫っている状態を示すもので、医師によって診断が下されます。危篤を言い渡された場合、これ以上病気や怪我からの回復の見込みがなく、息を引き取るときが近いことを覚悟しなければなりません。
危篤状態では、生命維持に必要なさまざまな体の機能が衰えていきます。自力での食事や排泄が困難になるのはもちろんのこと、徐々に呼吸機能や循環機能が低下し、意識が朦朧として受け答えや反応が不可能になっていきます。
<主な危篤の症状>
- 血圧の低下
- 体温の急激な上昇や低下
- 心拍数の減少
- 手足の皮膚の変色
- 食事の経口摂取ができなくなる
- 尿量の減少
- 下顎呼吸
- 意識障害
なお、危篤とよく似た症状として「重篤」というものがありますが、こちらは危篤よりも容体が深刻ではなく、わずかに回復の余地が残されているときに用います。
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危篤状態は何日間続く?
危篤と診断されてから息を引き取るまでにかかる日数には個人差があります。一般的には診断後数時間から数日程度で臨終を迎えるケースがほとんどですが、なかには危篤状態が長続きする方もいらっしゃいます。
とはいえ、一度危篤状態に陥ったら、そこからの病気や怪我の回復はほとんど見込めません。一進一退の状況で数週間闘病し続けたとしても、最後は息を引き取ることになります。
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身近な人が危篤になったときにすべきこと
ここからは、家族や親戚などの身近な人が危篤になったときにすべきことを詳しく解説します。いざというときに適切に対応し、落ち着いて振る舞えるように心の準備をしておきましょう。
心の準備
医師によって危篤と診断された場合、残念ながら病気や怪我からこれ以上回復することは難しいのが現実です。来るお別れのときに備えて、心の準備をしておきましょう。
なかには現実をなかなか受け入れられない方や、気持ちの整理ができない方もいるかもしれません。そんなときは家族や親戚同士で支え合いながら、少しでも落ち着いて過ごせるように環境を整えることが大切です。
親族や友人に連絡を入れる
身近な家族や親戚が危篤と診断されたら、ほかの家族や親しい友人たちにも危篤の連絡を入れましょう。すぐに連絡を入れることで、本人が息を引き取る前に面会する機会を作れるかもしれません。
どの関係性の人まで危篤を伝えるべきか迷った場合は、「本人が最後に会いたいと思うかどうか」を考慮することが大切です。家族以外でも、友人や恩師など、最後にお別れをしたい大切な人がいる場合は連絡することをおすすめします。
病院に駆けつける
身近な人が危篤になったと連絡を受けたら、すぐに入院先の病院へと向かいましょう。危篤の状態はどれくらい続くかわからないため、臨終の瞬間に立ち会えるようにできるだけ早く動くことが大切です。
危篤の状態が数日間続く場合は、家族で病院に泊まり込みながら付き添うことも考えられます。あらかじめ、数日間宿泊しても問題ない荷物を用意して向かうとよいでしょう。病院が遠方にあって自宅に戻るのが難しい方は、葬儀の際に身につける礼服を持参しておくのもひとつの方法です。
本人に寄り添う
お見舞いや面会に訪れた際は、本人にやさしく寄り添うことが大切です。すでに意思疎通や受け答えができない状態になっていたとしても、聴力だけは残っている可能性があるため、本人に話しかけることで気持ちを伝えられるかもしれません。
本人に話しかける際は、これまでの感謝の気持ちを伝えたり、思い出話をしたりしましょう。決してネガティブな言葉や死後を連想させる言葉はかけないように注意してください。後で悔いが残らないよう、最後の時間を大切に過ごすことが大切です。
処置や臓器提供の確認
危篤状態とは、病気や怪我の有効な治療方法がなくなり、これ以上の状態の回復が見込めないことを示します。とはいえ、現代の医療では自力での生命維持が困難になった場合でも、人工呼吸器や点滴などによって延命の処置を施すことができるようになりました。
そのため、病院に駆けつけた家族は、延命処置の有無や心停止・脳死後の臓器提供の有無などについて医師から意見を求められることが珍しくありません。急に相談を受けたときにすぐに回答できるよう、本人と意思疎通が図れるうちに本人の意向を把握しておくことが大切です。
職場に連絡を入れる
会社に勤めている方の場合は、あらかじめ職場に身内が危篤状態であることを伝えておくとよいでしょう。危篤では慶弔休暇を取ることはできませんが、亡くなった後や葬儀のタイミングで忌引休暇を取得できます。その際、急に休みを取るよりも、事前に近々忌引休暇を取る可能性があることを伝えておいたほうがスムーズです。
危篤のうちに準備すべきこと
身近な人が危篤と診断されたら、あらかじめ葬儀の準備を始めておくと後でスムーズに葬儀手配ができるでしょう。手元にまとまった現金も用意しておくと安心です。
葬儀の準備を始める
医師によって危篤と診断された場合、残念ながらこれ以上の回復の見込みはなく、近いうちに息を引き取ることになります。
亡くなった後に少しでもスムーズに葬儀の手配が進められるよう、危篤状態のうちに葬儀の準備を始めるのもひとつの方法です。お見舞いや面会で家族が集まった際には、本人の耳に入らない場所で葬儀の形式や規模などを話し合っておくとよいでしょう。
依頼する葬儀社が決まっている場合は、あらかじめ近々葬儀を行う可能性があることを連絡して問題ありません。あわせて、菩提寺や僧侶にも連絡を入れておきましょう。
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現金の用意
本人が亡くなった後は、病院や葬儀社への支払いや香典の対応など、現金が必要な場面が数多くあります。葬儀の準備で忙しくなる前に、あらかじめまとまった現金を手元に用意しておくと安心です。
また、亡くなった後は本人の口座が一時的に凍結するため、口座から現金を引き出すことができなくなります。葬儀費用や入院費用などを本人の預金から支払う予定の方は、本人がご存命のうちに口座から現金を引き出しておくことをおすすめします。
危篤を周囲に知らせる方法
ここからは、家族や親しい友人らに危篤状態であることを知らせる方法について詳しく解説します。適切な連絡方法を活用し、一人でも多くの人に最後の面会の機会を与えられるようにしましょう。
連絡範囲
危篤の連絡を入れる範囲は、一般的に三親等までの親戚のみとされています。ただし、家族のほかにも親しい友人や仕事関係者などがいる場合は、その方にも連絡を取りましょう。
また、なかには家族や親戚同士でも関係性が浅かったりなんらかのトラブルを抱えていたりする可能性もあります。その際は無理に連絡を取らず、本人が最後に会いたい人かどうかを優先して判断するのがポイントです。
連絡方法
危篤を伝えるうえで最も適している連絡手段は電話です。危篤の連絡は緊急性が高いため、昼夜や時間帯を問わず、すぐに電話をかけてもかまいません。
もし電話をかけても繋がらなかった場合は、留守番電話に簡単な要件を残したり、メールやSNSなどを活用して折り返しの連絡をもらうように手配したりしましょう。電話で危篤の旨を伝えた後に、メールやSNSで入院先の詳細情報をテキストで伝えるという方法もあります。
連絡内容
危篤の連絡を入れる際に盛り込むべき内容は以下のとおりです。
- 連絡を入れた人の名前と本人との関係性
- 本人が危篤であること・病気や怪我の状態
- 入院先の病院名・住所・病棟や病室の番号
- 連絡を入れた人や家族代表者の連絡先
連絡をするときは必要な情報のみを伝え、本人の不要な個人情報は伝えるのを控えます。連絡した相手にほかの関係者への伝言を頼みたい場合は、その旨もあわせて伝えましょう。
連絡を入れる際の注意点
危篤の連絡を入れる際は、伝えたい人以外に情報が漏れないように十分注意しましょう。もし危篤の噂が広がってしまった場合、静かに最後のお別れの時間を過ごせなくなる可能性があります。
連絡した人のなかには、遠方に住んでいる方や事情によってすぐには面会に向かえない方もいるかもしれません。それぞれの事情があることを考慮し、必ずしも病院に駆けつけるよう強く催促はしないのがマナーです。
また、危篤を伝えたい間柄の人のなかに、高齢の方・病気療養中の方・出産前の妊婦など、本人自身も余裕がない状態の方がいた場合、危篤の連絡によって精神的なショックを与えてしまう可能性があります。そのようなケースでは、状況を鑑みながらあえて危篤を伝えないという選択をすることも視野に入れましょう。
家族が危篤だと仕事を休める?
職場に勤めている方の場合、家族が危篤になって病院に駆けつけるときに仕事を休まなければなりません。一般的な企業では亡くなったときや葬儀のタイミングで忌引の休暇を取得できますが、危篤時には使用できないため、有給休暇を使用して仕事を休むケースが一般的です。
危篤時に休みを取らない場合でも、近いうちに忌引を取る可能性がある方は、上司や所属先にその旨を伝えておきましょう。なお、身内が亡くなった際に1週間程度の長い休みを取る予定の方は、職場を気にせず休めるように事前に業務の引き継ぎを行なっておくことをおすすめします。
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病院で気をつけるべきこと
ここからは、病院に面会に行った際に気をつけるべきポイントを解説します。院内ではマナーを守り、周囲に配慮しながら過ごしましょう。
言葉遣いに配慮する
お見舞いや面会の際は、言葉選びや言動に細心の注意を払いましょう。大切な人の死が近付いている状況において、付き添っている家族は言葉や態度に敏感になるものです。本人や家族に失礼のないよう、ネガティブな言葉や死後の話は避け、温かい言葉をかけるようにしてください。また、本人だけでなく、付き添っている家族にも労いの気持ちを伝えられると好ましいでしょう。
院内では静かに過ごす
院内にはさまざまな事情を抱えた方が入院しているため、自分たちの家族だけでなくほかの患者と家族にも十分配慮して過ごすことが大切です。
院内では大声を出したり騒ぎ回ったりせず、落ち着いて静かに過ごしましょう。本人と面会してショックを受けてしまったとしても、できるだけ院内で取り乱さないように気をつけてください。
自宅で危篤になった場合の対応方法
病気や怪我の回復が見込めず終末期を迎える患者のなかには、病院ではなく自宅に戻って最後の時間を過ごしたい方もいるかもしれません。自宅療養を選択した場合は、訪問医療や訪問介護のサービスを活用しながら容体を定期的にチェックすることが大切です。自宅で危篤の症状が現れたら、すぐに救急車やかかりつけの医者を呼んで病院に向かいましょう。
なお、急な容体の変化によって、自宅で息を引き取るケースも考えられます。その場合は本人の体に触れず、すぐにかかりつけの医者か警察を呼んで死亡判断を仰ぎましょう。気が動転してしまうことも考えられますが、本人の死亡が確定するまでは体に直接触れてはいけません。
臨終を迎えたら
病院で臨終を迎えた場合は、医師による死亡診断が行われた時点で死亡が確定します。自宅で臨終を迎えた場合は方法が異なり、かかりつけの医師を呼んで死亡診断を行ってもらうか、警察を呼んで簡単な検視のうえ死亡判断を行ってもらう必要があるので注意しましょう。
死亡の確定後は末期の水やエンゼルケアなどの遺体の処置を施し、遺体安置所にご遺体を搬送して葬儀までの数日間安置します。それから葬儀の手配・死亡届などの事務手続き・訃報の連絡などを同時に進めていきましょう。亡くなってから葬儀を執り行うまでの期間はとても忙しくなるため、あらかじめできることを準備しておくことが大切です。
以下の記事では、臨終を迎えたときの対応方法や葬儀を執り行うまでの一連の流れを詳しく解説しています。ぜひ、あわせてチェックしてみてください。
本人の最後に寄り添って後悔のないお別れをしましょう
医師によって危篤と診断されてから息を引き取るまでの期間には個人差がありますが、一般的には数時間から数日間が目安とされています。身近な人が危篤になったら、後悔が残らないようにゆっくりと最後の時間を過ごしましょう。
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