家族葬を検討しているものの、初めてのことでトラブルが起きないか心配という人もいるのではないでしょうか。家族葬は気心の知れた身内だけでお別れできるなどメリットが多く、近年選ばれることが増えています。しかし、比較的新しい形式の葬儀であるため、馴染みのない方も多いでしょう。
「故人の意思を尊重したい」「しめやかに送り出したい」と、家族葬を選ぶのであればこそトラブルのない式にしたいものです。本記事では、家族葬でよくあるトラブルや対策について解説します。ぜひ本記事を読んで、起こりうるトラブルや事前の対策方法を知り、悔いのない葬儀を執り行いましょう。
家族葬で起こりやすいトラブルとは?
家族葬は、親族を中心とした30人程度までで行う小規模な葬儀のことです。故人の意思を尊重した式にできることや準備や弔問の対応を減らせることなどのメリットがあります。ただし、小規模な葬儀になるため、故人の交友関係が広いと参列できない方が増えて、残念に思われるケースもあります。
葬儀は故人との別れを家族や親戚だけでなく、ご近所の方々など多くの人と一緒に行うことが多いものです。宗教的な考え方や、地域ならではの慣習も深く関わっています。そのため、家族だけで静かに送りたいと家族葬を選ぶ場合、従来の葬儀の形式を大切にしている方から、理解を得られない可能性もあります。特に、地域とのつながりが強い場合や、昔ながらのしきたりを重んじる地域では注意が必要です。
家族葬について詳しく知りたい方は、こちらの記事で家族葬のメリットや注意点まで解説しています。参考にしてください。
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家族葬で起こりやすい親族間のトラブル
家族葬をスムーズに執り行うためには、起こりうるトラブルを事前に知り、対処をしておくことが大切です。まずは親族間で生じやすいトラブルについて解説します。
家族葬を行うことに反対される
葬儀は故人との別れを告げる大切な儀式であり、宗教的な考え方も大きく影響します。「最後は盛大に送りたい」と考える方もいれば「少人数で静かに最後の時間を過ごしたい」など意見が分かれることもあります。
家族葬は新しい形式の葬儀であるため、価値観が異なると他の親族から理解を得られない可能性があります。遺族だけで決めるのではなく、故人の意向や生前の交友関係なども確認しましょう。親族への相談もしておいたほうがトラブルなくスムーズに葬儀を行えて、遺族にとっても対応に追われずに済むということもあります。
呼ばれなかった親族と揉めることも
家族葬の参列者は、2親等までの親族が参列するのが一般的と言われています。しかし、誰を呼ぶか明確な定義はなく、友人や知人が参列することもあります。どの程度の範囲の親族に声をかけるか判断が難しく、呼ばれなかった方と揉めることもあるかもしれません。
親族の中には、血縁が遠い方や昔お世話になった方など、故人との関係性が深い方もいるでしょう。しかし、親戚付き合いは家族によってさまざまで、遺族が知らない関係性があるかもしれません。事前に親族間の関係性を把握しておきましょう。後から呼ばれなかった方から反感を買ったり、親戚関係がぎくしゃくしてしまうのを防ぐことができます。
どなたまでお声がけをするか迷うときは、こちらの記事をご参照ください。参列者の範囲や選び方まで詳しく掲載しています。
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家族葬で起こりやすい近所トラブル
葬儀では親族だけでなく近所とのトラブルが発生することもあります。特に繋がりの強い地域やしきたりを大切にする地域では注意が必要です。地域の慣習に合わない葬儀を行うことで、のちのち近隣の方々との付き合いに影響する可能性があります。
葬儀に呼ばれなかった方が残念に思われる
故人のことを大切に思って「最後のお見送りをしたい」という方が多いこと自体は、とても喜ばしいことです。環境美化や老人会、ボランティアなど近隣の方々と故人の交流があると、参列したいと思う方も増えます。
家族葬にあまり馴染みがなく一般葬が多い地域では、葬式に家族以外の方も参列できて当たり前だと考える方も少なくありません。最後のお見送りをできると思っていたのに、参列できないとなると呼ばれなかったことを残念に思われる場合があります。また、自分以外の方が呼ばれることに抵抗を感じる方もいるかもしれません。
呼ばれなかった方が事前の連絡なく参列される
家族葬を行うことを連絡すると、基本的に家族以外の方からは参列を遠慮していただけます。しかし、家族葬に馴染みがなく、案内がわかりにくいと参列したほうが良いか迷わせてしまうこともあるでしょう。
意図が伝わらず、当日に突然参列される方がいると対応に追われ、葬儀に集中できない場合もあります。また、会場の規模や席数、返礼品や通夜振る舞いなどの食事などの準備している数が合わずに対応しきれない可能性も出てきます。
後日の弔問が増える
参列できなかった方が、後日自宅へ訪問されることもあります。故人が現役で仕事をされていた場合や、地域の方々と積極的に交流していた場合などは弔問も増えるでしょう。
弔問にいらしてくださる方々のお気持ちは大変ありがたいものですが、すべての方に十分な時間をかけ対応するのは、遺族にとって大きな負担となる可能性があります。葬儀の規模を大きくして、参列できる方を増やしたほうが、後日の対応に終われなくて済む場合もあります。
菩提寺とのトラブル
菩提寺の檀家になっていると、形式によっては家族葬を行うことに反対されることがあります。仏教では読経や戒名を行うことで、故人が無事に成仏して極楽浄土へ行けるという考え方があります。菩提寺では、普段からお布施などでお寺を支える檀家を読経や戒名など仏教的な儀式に沿って、手厚く供養しようと務めてくださることがほとんどです。
そのため、無宗教での葬儀や従来の流れと異なった葬儀は、菩提寺から許可されない可能性があります。菩提寺に事前に連絡せずに、遺族だけで葬儀の準備を進めてしまうと、後々先祖代々のお墓に納骨できないなどトラブルが発生する可能性があります。
金銭面のトラブル
親族間、近所や菩提寺などの人間関係や社会的なトラブルだけでなく、金銭面でもトラブルが発生する可能性もあります。しかし、金銭面のトラブルは事前に知識を得ることや確認をしておくことで回避できることも多くあります。起こりうるトラブルがどんなものか見ていきましょう。
香典が少なく持ち出しの費用が増える
家族葬は、一般葬に比べて規模の小さい葬儀であるため、費用が抑えられると考えられがちです。たしかに家族葬は比較的小さな会場で行ううえ、祭壇も小さくなるため、大きな会場で行うより費用は安くなりやすいでしょう。参列者が少ないと飲食代なども抑えられます。
一般葬では参列された方からの香典を葬儀の費用にあてられます。しかし、家族葬では香典を辞退することも多く、受け取る場合も参列者が少ないため香典収入が少なくなります。結果的に、一般葬より持ち出し費用が増えたというケースも少なくありません。
追加料金がかかる
家族葬は、仏教的な葬儀の流れに従って行うこともできれば、自由なスタイルで葬儀を行うこともできます。故人が好きだった食べ物をみんなで食べたり、好きな音楽を流したりすることもあるでしょう。また、故人の生前の様子がわかるスライドを流すこともあります。
ほかにも、料理や動画などを遺族で手作りできたり、プロの演奏者を呼ぶなどお金をかけてこだわることもできたりします。オリジナルの要素が多ければ多いほど別途の費用がかかります。「こんなにかかると思っていなかった」ということがないように、費用はきちんと確認しましょう。
以下記事では、家族葬の費用を安くする方法について解説してますので、併せてチェックしてみてください。
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トラブルを減らすための訃報連絡と葬儀案内
家族葬でのトラブルは、事前に対策をすることで回避できることも多くなります。例えば、訃報の連絡を工夫するだけでも、家族葬を行うことへの理解を得やすくなる場合があります。
訃報の周知は必要最低限に留める
参列を遠慮してほしいことを直接的に伝えると角が立ってしまいます。トラブルを回避するためには、訃報連絡を必要最低限に留めるのが良いでしょう。基本的に参列をお願いしない方には、葬儀の後に事後報告します。
ただし、ご近所の方で亡くなったことを知っている場合や、会社関係など訃報連絡の必要な場合もあります。どうしても事前に伝えなくてはならないときは、家族葬を執り行う日程や会場などの詳細はお伝えしないようにしましょう。意図が伝わりにくい場合でも、日程や場所がわからないと参列できないため、参列してほしくないということが伝わりやすくなります。
家族葬は故人の意思であることを伝える
人によって葬儀に関する価値観はそれぞれで、周囲の方から家族葬を行うことに対して反対されることもあります。しかし、家族葬が故人の意思であることを伝えると、比較的理解を得やすくなります。
反対される前に故人が希望していたことを明確に伝えられると良いでしょう。特に親族は、なるべく早めに相談して理解を得ておくとスムーズです。可能であれば、生前に葬儀の形式やどなたに参列していただくかを話し合っておくと良いでしょう。
地域の慣習に従って伝える
基本的に家族葬の場合は、事後報告でもマナー違反には当たりません。しかし、自宅でお亡くなりになった場合などは、ご逝去を察して心配されることもあります。状況によっては、直接訪問して訃報を伝えたほうが良いこともあるでしょう。
また、地域によっては、町内会などによって訃報の連絡方法が取り決められている場合もあります。町内会に一報入れると、回覧板などで連絡がいくこともあるので、個別連絡の手間を省くことができます。
参列や香典等を辞退する場合は明確に伝える
訃報連絡や葬儀案内では、参列の可否を明確に伝えることが大切です。参列を希望してほしくない場合は、「家族葬であること」をきちんと伝えましょう。
また、香典についても案内がないと、参列者は基本的なマナーとして一般葬と同じように持参されます。香典を辞退する場合は、事前にその旨を明確に伝えておきましょう。故人が「周りの人に迷惑をかけたくない」と考えられていた場合は、故人の意思であることを伝えておくのが無難です。
菩提寺に事前に相談する
まずは、菩提寺の檀家になっていないか確認をしましょう。菩提寺がある場合は、すぐに訃報連絡をして家族葬を予定していることを伝えます。あわせて仏教的な流れに沿わない自由な形式の葬儀を予定している場合も、事前に相談をしましょう。
近年は、家族葬に対して理解を示す菩提寺も増えているようです。自由なスタイルの葬儀の場合も読経や改名など仏教の葬儀を行うことで、先祖のお墓に納骨できる場合もあります。トラブルなく供養するためにも、住職にアドバイスしてもらうと良いでしょう。
トラブルのない家族葬のためは葬儀社に相談を
親族間や菩提寺とのトラブルは、故人の意思を確認することや事前に相談をしておくことで対処できることもあります。近所のトラブルは訃報の連絡の仕方などを工夫することによって回避できることも多いでしょう。迷う場合や連絡の方法など具体的なことを知りたい場合は、経験豊富な葬儀社に相談しておくとスムーズです。
また、金銭面におけるトラブルを避けるためにも、葬儀にかかる費用が明確な葬儀社に依頼するのが良いでしょう。葬儀に関する補助金や給付金もあるため、費用の計画を立てておくことをおすすめします。
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