生活保護を受けていて葬儀費用の負担が難しい場合、葬祭扶助制度を利用することで、自治体の援助を受けられます。ただし、誰でも利用できるわけではなく、葬儀費用の工面が難しいと判断された場合に限り制度を利用できます。
葬儀形式などにも指定のある葬祭扶助制度ですが、ネット検索すると「香典を没収される」といった情報が見受けられます。また、現時点で生活保護を受けている場合「香典による収入が原因で生活保護が打ち切られるのでは」と、不安に感じる方もいるでしょう。
この記事では、葬祭扶助制度を利用した生活保護葬における香典の取り扱いについて、分かりやすく解説していきます。
生活保護葬で受け取った香典は没収されない
結論から述べると、葬祭扶助制度を利用した生活保護葬において、受け取った香典は没収されません。使用目的についても明確なルールは存在しないため、葬儀後の納骨やお墓代などに充てられます。
ただし、香典を頂いた場合、香典返しを送るのがマナーとされています。香典を全て使ってしまわないように注意しましょう。香典返しの金額に明確なルールはなく、受け取った香典の3分の1から半額程度が相場です。
生活保護葬で受け取った香典は基本的に申告も不要
生活保護葬で受け取った香典は、所得とみなされないため基本的に役所への申告も不要です。非課税であるため、税金もかかりません。
「香典の収入が発生したから」と生活保護が打ち切られることもありません。ただし、常識的な範囲を超えて多額の香典を受け取った場合は、一時所得として所得税や住民税が課税される可能性はあります。
収入とみなされる基準は自治体や福祉事務所の判断によるため、心配な方は事前に役所へ相談しましょう。
生活保護受給者の葬儀は葬祭扶助制度を利用できる
冒頭で解説した通り、生活保護を受けているなどして葬儀費用を工面するのが難しい場合、葬祭扶助制度を利用することで、葬儀費用を自治体に負担してもらえます。葬祭扶助制度の対象となるのは、以下のいずれかに該当するケースとなります。
- 喪主が生活保護を受けており、経済的な困窮により葬儀費用を工面できないと自治体に判断された場合
- 故人に身寄りがなく、介護施設などの第三者が葬儀を執り行う場合
第三者が葬儀を執り行う場合、経済的な困窮がなかったとしても葬祭扶助制度を利用できます。葬祭扶助の申請手順や葬儀形式のルールなどは、以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はチェックしてみてください。
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生活保護受給者が葬儀に参列する場合の香典は自費で用意する
生活保護を受けており、葬儀に参列する際の香典費用を工面できない方もいるでしょう。生活保護を受けている場合「生活扶助」や「医療扶助」など、さまざまな援助を受けられます。
このなかには「葬祭扶助」も設けられていますが、香典は対象外となるため、自身で負担しなければなりません。ちなみに、葬式へ参列するための交通費は「一時扶助」の対象であるため、援助を受けられます。
どうしても香典の工面が難しい場合は、役場の担当課に相談してみましょう。支給しないというルールはあくまでも原則であるため、相談内容によっては援助してもらえる可能性もあります。
生活保護葬や香典に関するよくある質問
最後は生活保護葬や香典に関する、4つのよくある質問に答えていきます。
- 葬祭扶助制度で支給される金額は?
- 葬祭扶助制度の支給対象は?
- 生活保護葬で戒名は付けてもらえる?
- 生活保護を受けており葬儀に参列するのが難しい場合はどうすべき?
内容を理解したうえで、葬祭扶助制度の利用を検討してみましょう。
葬祭扶助制度で支給される金額は?
葬祭扶助制度では、最低限の葬儀費用のみ支給する決まりとなっており、支給金額は生活保護法第18条により以下の上限が設けられています。
級地別 | 大人 | 子供 |
---|---|---|
1級地・2級地 | 21万5,000円以内 | 17万2,000円以内 |
3級地 | 18万8,100円以内 | 15万500円以内 |
「級地」とは、生活保護制度で定められた地域区分の1つで、生活水準や物価に分けて1~3級に振り分けられています。1級地には東京都や大阪府といった都市圏のエリアが該当します。
なお、上記基準額を超える場合、遺体搬送費や火葬費などの条件を満たしていれば、追加で費用を支給してもらうことも可能です。追加支給の詳細は地域によって異なるため、住んでいる地域の福祉課に相談しましょう。
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葬祭扶助制度の支給対象は?
葬祭扶助制度の支給対象は、経済的な困窮により葬儀費用を工面できない人や、故人に身寄りがなく第三者(介護施設など)が葬儀を執り行うケースです。
経済的な困窮は、葬祭扶助の申請時にケースワーカーや民生委員が審査を行います。葬儀費用を工面できると判断された場合は、生活保護を受けている人であっても制度を利用できません。
また、故人が現金や有価証券、物品などの資産を残して亡くなった場合も、葬祭扶助制度の対象とならないため、制度の申請前に確認しておくようにしましょう。
生活保護葬で戒名は付けてもらえる?
葬祭扶助制度の援助対象に戒名は含まれていないため、生活保護葬の際に戒名や読経はお願いできません。制度の援助対象は、生活保護法第18条で以下の通り定められています。
- 検案
- ご遺体の搬送
- 火葬または埋葬
- 納骨やその他葬祭のために必要なもの
なお、葬儀後の納骨や墓地の永代使用料も対象外となるため、自己負担となります。戒名のお布施を準備できない場合は、後からお寺に相談してみましょう。
戒名は葬儀が終わった後でも対応してもらえます。納骨に関しては遺骨を自宅で保管するといった選択肢も検討してみましょう。
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生活保護を受けており葬儀に参列するのが難しい場合はどうすべき?
生活保護を受けており、葬儀に参列するための費用を工面できない場合、役場の福祉課に相談しましょう。生活保護の扶助対象の1つに「一時扶助」があり、葬儀に参列するための交通費であれば支給してもらえます。
原則、香典や喪服の購入費用は一時扶助の対象外となりますが、工面できない場合は一緒に相談してみましょう。
生活保護葬で香典を受け取るのは問題ない
葬祭扶助制度を利用した生活保護葬には、葬儀形式や支給金額にルールが定められているものの、香典に関する決まりはありません。
常識を超える多額の香典収入があった場合を除き、受け取った香典は没収されず自由に使えます。収入として所得税がかかることはありません。ただし、香典を受け取った場合、香典返しを送るのがマナーであるため、3分の1から半額程度は残しておくようにしましょう。
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